――傘下にはどのような運用マネジャーがいるのでしょう。
直近では今年1月に、米老舗運用会社のパトナム・インベストメンツを買収しました。パトナムは2023年11月末時点で1420億米ドルの運用資産を有する名門で、確定拠出年金や保険といったリタイアメント市場に強みがあります。
ほかにもプライベートエクイティのレキシントン・パートナーズ、非上場不動産のスペシャリストであるクラリオン・パートナーズや、ファンド・オブ・ヘッジファンズに特化したK2アドバイザーズ、世界有数の債券運用会社であるウエスタン・アセットなど、グループ傘下には11もの運用マネジャーを擁しており、また、FT内にも多数の運用チームが存在しています。
そしてそれぞれのマネジャーが、等しく長期的な目線で運用を行っています。どんなに優れた戦略であっても、ずっと好リターンを出し続けられるわけではありません。そこでFTでは一時的な流行り廃りに左右されないよう、グループ各社に単年の収益ノルマなどを課さず、グループ全体で利益をカバーし合える体制にしているのです。
――国内のリテールに対する期待と課題についてお聞かせください。
まず期待できる点として、個人投資家の投資機運がこの数年で大きく高まりました。2020年のコロナ禍をきっかけに非対面で投資できるネット証券がいっそう普及しましたし、今年から始まった新NISAも資産運用を後押ししています。
ただ投資機運が高まったと言っても、「全世界株式(オール・カントリー)」の投資信託ばかりに注目が集まっているのも実情です。もちろんオール・カントリーも有力な投資先ではありますが、最適な運用方法は個人のニーズや年齢など様々な要因によって変わります。個人個人に適した投資先を見つけることは、まさにわれわれのような金融におけるプロフェッショナルが本来担うべき役割であり、これから業界全体で取り組むべき課題と言えるでしょう。
――最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
FTは世界トップクラスの運用体制を敷いています。投資家のあらゆる要望に応じることのできる多様な戦略を自前で持ち合わせていますし、拠点数も30カ国以上に上ります。
今後のマーケットを見通すと、あらゆる投資家が好むと好まざるとにかかわらず、「金利のある世界」に何らかの対応を余儀なくされるでしょう。FTは75年以上培ってきたノウハウや世界に広がる情報網、戦略のカスタマイズ能力などを生かし、長期目線でお客様のポートフォリオ全体のエンハンスメントを目指すソリューションを提案していきます。