実際に、コロナ前5年程度とコロナ以降4年程度を政府統計から俯瞰すると、企業の生産活動に好影響の兆しを垣間見ることができます。

その統計はものづくりにおける好不況の指標としての稼働率についてです。上流(わかり易く言いますと材料や部品など小さくて細かくて技術の結晶)の企業においては、これまでと違った変化を感じます。稼働率の絶対値でみるとコロナ前の方が高い指数ですが、生産能力が逓減することによる稼働率の上昇とみることもできます。おそらく、設備の老朽化や労働人口が減少する等のタイトな中での生産だったのでしょう。一方でコロナ以降は生産能力の逓増とともに稼働率も上昇していることが分かり、生産量の増加基調ともいえるのでしょうか。

このように、稼働率の増加は最終需要・生産量の増加であると同時に、生産能力の増加(人手不足や労働時間規制もあいまって機械や設備の新規の資本投資や様々な技術革新も進んだうえでの生産能力増強)ともいえる効果を感じています。

あらためて、今日本は円安によりインバウンド需要(=海外から日本への人や投資等の流入)が拡大の好機であると同時に、先端技術の注目も集めることで外需にも注目が集まっている『認知・興味』のフェーズにあると思います。同時に世界各国が自国誘致(ニアショア・オフショアリング)を進める中で、日本も海外からの誘致を進め日本国内で競争力を発揮できる環境も整いつつあります。

今後『実績』を積み重ね『信頼』を得て『囲い込み』フェーズへと進むためには、国、企業、学術機関、そして我々もこれらの産業のバリューチェーンに対する興味関心を持つと同時に、そのチェーンが動き始める(政策提言や各種関係諸法令が発布・施行される)時に、自分なりの意見・考えを持ったうえで感情に依存し過ぎない正しい判断が求められます。

日本企業もグローバル化を進める中で成熟期の自国における事業成長に再び目を向けることで、少しでもその閉塞感に希望の光が当たることを期待しています。