IFAとプラットフォーマーの分業のメリット

一方で、そうしたIFAをサポートする立場にあるのが金融商品取引業者です。

現在、IFAとの提携を積極的に進めているのは前述のSBI証券、楽天証券の他、エース証券、PWM日本証券など。準大手証券の東海東京証券も昨年8月にIFA専門の部署を立ち上げるなど拡大を目指し、それ以外にも水面下で参入の準備を進めている証券会社などは少なくありません。

金融商品取引業者はプラットフォーマーとも呼ばれ、顧客の口座管理をはじめ、さまざまな事務作業をIFAに代わって行います。その分、IFAは顧客との面談に集中でき、アドバイスの質が高まることも期待されるというわけです。IFAとプラットフォーマーが、それぞれの強みを活かしつつ、分業できる仕組みだと言うこともできるでしょう。

この分業体制のもう1つの利点として挙げられるのは、IFAが「身軽」になれる点です。管理業務に伴うシステムコストなどを自ら負担しなくても済みますから、従来の金融機関と比べて損益分岐点は低くなり、結果として無理な営業をする必要もなくなります。

この点から見ても、「顧客本位の業務運営」の担い手として、IFAはふさわしいと考えられるわけです。

金融アドバイザーに相談するという選択肢の必要性

もちろんIFAだからと言って、その全てが顧客本位な存在であるわけではありませんし、銀行や証券会社などの従来の金融機関のほうも、ビジネスの在り方を顧客本位に変化させてきています。

1つ確かなことは、IFAであれ既存の金融機関の担当者であれ、自分と相性の良い金融アドバイザーを見つけられれば、皆さんの投資に対する見方が大きく変わってくるということでしょう。

とりわけ今回のような相場急変時には、信頼できる金融アドバイザーを知っているだけで、精神的な安定感が全く異なってくるのは間違いありません。

どんなに金融知識がある人でも、実際に相場の下落を経験し、損失を被ってしまえば不安になってしまうもの。今後も不安定な相場環境が続き、金融商品もますます複雑化していくはずです。「金融機関=悪」と一律に決めつけて敬遠してしまうのではなく、金融アドバイザーに相談するという選択肢を持っておくことが、これからは不可欠になるとさえ言っていいのかもしれません。

私たちFinasee編集部では、今後とも金融機関の批判すべきところは批判しつつ、一方で報道される機会がそれほど多くない「良い変化」についても、併せて紹介していきたいと考えています。

投資というのは本来、誰かが勝てば誰かが負けるというゼロサムのゲームではなく、世界経済が発展していく限り、誰もがその恩恵を受けられます。だからこそ、個人投資家と金融機関はWin-Winの関係になり得るのであり、むしろそれが健全な姿だと信じているからです。