過去30年で家族形態が大きく変化

もう1つ、賃貸マンション需要が高まると思われる理由があります。家族形態の変化です。

国勢調査の世帯類型の構成割合を見ると、1990年の構成比は以下のようになります。

単独世帯・・・・・・23.1%
夫婦のみの世帯・・・・・・15.5%
夫婦と子供からなる世帯・・・・・・37.3%
ひとり親と子供からなる世帯・・・・・・6.8%
その他の世帯・・・・・・17.4%

直近の国勢調査は2020年の数字ですが、果たしてどのような変化が見られるでしょうか。

単独世帯・・・・・・38.1%
夫婦のみの世帯・・・・・・20.1%
夫婦と子供からなる世帯・・・・・・25.1%
ひとり親と子供からなる世帯・・・・・・9.0%
その他の世帯・・・・・・7.7%

この30年間で単独世帯が大幅に増える一方、核家族の象徴的な形態である「夫婦と子供からなる世帯」が大幅減となり、かつ大家族を含める「その他の世帯」も、大幅に減っています。

今後は持ち家に価値を見いだせない人が増える

単独世帯は身軽さを求めるでしょうし、子供を持たない世帯にとっても、分譲マンションや戸建てはいささか重荷になります。そもそも家という資産を相続する相手がいなければ、わざわざ住宅ローンの重荷を背負う必要はないと考える人が増えても、何もおかしくありません。

そうなると、「持ち家と賃貸のどちらがおトクか?」という議論の前に、世帯類型の変化によって、持ち家に価値を見いだせない人が増えていく可能性は高いと思われます。

若年層の単独世帯はワンルームマンション、もう少し年齢層の高い単独世帯はコンパクトタイプ、夫婦で子供がいない世帯はファミリータイプで、それぞれに賃貸を選択する傾向が今後、強まるのではないでしょうか。

参考
・三井住友トラスト基礎研究所「賃貸マンション市場レポート ファミリー世帯等の賃貸マンション需要の動向」
・総務省統計局「令和2年国勢調査」