賃貸マンションへのニーズが高まっている理由

本来、賃貸マンションといえばワンルームマンションを中心にして、単身世帯が住むものというイメージがあります。

とはいえ、ファミリータイプやコンパクトタイプの賃料上昇が顕著ということは、単純に需給関係で考えると、ファミリータイプやコンパクトタイプの賃貸マンションに対するニーズが高まっている根拠になります。

同レポートでは、なぜファミリータイプやコンパクトタイプの賃貸マンションに対するニーズが高まっているのかを、いくつかのデータを用いて検証しています。

賃貸マンションの市場を支えているのは単身世帯

まず、賃貸マンション居住世帯数について、家族類型を「単身世帯」、「夫婦のみ世帯」、「ファミリー世帯(20歳以下の子とその親)」、「その他の世帯」に分けたうえで、その変化を見ています。

それによると、この5年間における家族類型の賃貸マンション居住世帯数の変化率は、横浜市の+19.9%、大阪市の+19.6%を筆頭にして、仙台を除く札幌市、東京23区、名古屋市、大阪市、福岡市のいずれもが、この5年間で+10%超という高い伸び率を見せています。

そして、4つある家族類型の中で最も高い伸び率を見せたのが、単身世帯でした。つまり、賃貸マンションの1番のお得意さまは単身世帯だということです。

これは国勢調査の結果ともリンクしています。国勢調査における単独世帯の世帯数を見ると、2015年は1841万7922世帯でしたが、2020年では2115万1042世帯まで増えています。増加率は+14.84%です。

全国的に単身世帯が+14.84%の伸びを見せているのですから、その多くが住まいとして選ぶ賃貸マンションの居住世帯数が、それに準じる伸びを見せるのは、当然といえば当然のことでしょう。単身世帯、夫婦のみ世帯、ファミリー世帯の3世帯で寄与度を見ると、単身世帯の寄与度が最も高かったのは、横浜市と大阪市でした。この点からも、賃貸マンションの市場を支えているのは、単身世帯であることが分かります。