若い単身世帯の人口が大都市へ移動している
同レポートでは、賃貸マンションの居住世帯数が増えた理由を、都市部への人口流入や家族構成の変化による「世帯数要因」と、さまざまな居住形態の中から賃貸マンションを選好する「選好率要因」という2つの要因に分けて、寄与度が算出されています。
同レポートでは実数ではなくグラフで表示されているだけなので、正確な数字までは分かりませんが、グラフを見たところ、単独世帯はどの大都市圏でも、世帯数要因が多くを占めています。総じて年齢層が若い単身世帯を中心に、就学や就職によって地方から大都市に人口が移動したことが、賃貸マンション居住世帯数を押し上げたと見られています。
また夫婦のみ世帯とファミリー世帯は、単身世帯とは逆に「選好率要因」が多くを占めています。都市別の数字で例外的とも言えるのが、ファミリー世帯の仙台市で、世帯数要因はプラスだけれども、選好率要因はマイナスです。
注釈によると、仙台市の場合、東日本大震災以降の経済低迷による影響で、他都市とは異なる傾向を示すとされています。全般的に大都市圏に住むファミリー層が、転勤によってやむなく賃貸マンションを選ぶのではなく、さまざまな居住形態の中から、あえて賃貸マンションを選んでいる層が増えているのは事実のようです。
では、なぜ大都市圏において、単身世帯だけでなく夫婦のみ世帯、ファミリー世帯でも賃貸マンションを選好する傾向があるのでしょうか。
同レポートによると「大都市における分譲マンションの価格等の上昇ペースは所得のそれを上回り、従来ならば分譲マンションに住み替えていた30~40代の夫婦のみ世帯やファミリー世帯が、利便性を優先した結果、大都市の賃貸マンション居住を選択したものと解釈できる」と分析しています。
確かに、東京23区内の新築マンション価格は、すでに普通の会社員の収入では手が出せないほどに値上がりしています。とはいえ、都心に住んで会社に通える利便性を考慮すれば、賃貸マンションという選択肢もあり、というところなのかもしれません。