反対運動の結果は…

それから勇司は長田さんと共に反対運動に参加をすることになった。

商業施設建設に反対するのは勇司たちだけではなく、周辺地域の商業団体が加わり、大きな組織となる。

これだけいれば、早々に施設の建設がされることはないだろうと勇司は心強く思った。

「現市長に知り合いの人もいるみたいで、その人の話では市長も建設には否定的だったらしいよ」

長田さんはそんな風に勇司に話をしてくれた。

だから勇司は心に余裕を持って状況を静観していたのだが、その考えが甘かったと後に痛感する。

あるとき、商業施設建設に関する市民フォーラムが開かれ、勇司たちは反対派としてそれに参加した。

てっきり勇司は反対派が多数になるものだと思っていた。商業施設などなくても不便はなかったし、何より商店街は町の皆から愛されている自信があった。

しかし参加者の過半数を超える人たちが賛成派だったのだ。

「どういうことですか、これ? 」

勇司は長田さんに尋ねる。

「どうやら、地権を持っているやつらが金を使って賛成派を集めているらしい」

そこで勇司はこのような施設が建設されるときには大きな金が動くということを身をもって知った。

それらの利権を得るために、動く人間というのは数多くいるらしい。

そしてシンポジウムは実際に賛成派の攻勢に、コチラが押し込まれる形で進んでいった。

その後、この件を契機に流れが変わり、反対派の意見は隅に追いやられる。

そして否定的だった市長も市民の声に耳を傾けた結果、大型商業施設の建設が決定。

反対派の意見は何一つ聞かれることはなく、商業施設の建設がスタートしてしまった。

「これから、どうなるのかしら…」

皐月は不安そうに話すが、勇司にはそばを打つしかやれることはなかった。

●大型商業施設が建設されてしまったら勇司たちの商店街はどうなってしまうのだろうか。 後編ライバル店に敗北の末、脱サラ失敗… 抱えた借金と妻が気づかせてくれた“教訓”】にて、詳細をお届けします。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。