実現近づく「空飛ぶクルマ」 商用化に大きく前進

デンソーは電動航空機、いわゆる「空飛ぶクルマ」への実績が話題を集めています。同社の製品を搭載した電動航空機が、米国と欧州で商用化に向けた重要なプロセスの推進に成功しているのです。

デンソーは2019年から米ハネウェル社と電動航空機向け推進システムの共同開発を開始しました。共同製品は2022年5月に初めて電動航空機に採用されます。

採用したのはeVTOL(電動垂直離着陸機)を手掛けるドイツのリリウム社です。リリウムは2023年6月にアメリカ連邦航空局からG-1認証を取得し、同年11月には欧州航空安全庁から設計機関承認(Design Organization Approval)を取得しました。リリウムによると、同社は欧州と米国で認証基盤を持つ唯一のeVTOLメーカーとなっています(出所:リリウム EASA設計機関承認の取得リリース(英文)

【デンソーの「空飛ぶクルマ」部品に関する主な経緯】
・2019年6月:ハネウェルと共同開発を開始
・2021年5月:ハネウェルとの提携を強化し共同事業を開始
・2022年5月:電動モーターがリリウムに採用
・2023年6月:リリウムがアメリカ連邦航空局からG-1認証を取得
・2023年11月:リリウムが欧州航空安全庁から設計機関承認を取得

出所:デンソーおよびリリウムのリリース

デンソーはさらに電動エンジンの大規模生産を支援する契約を締結しました(出所:リリウム デンソーとの提携リリース(英文)。リリウムは型式証明の取得に向けテストを進めています。

「空飛ぶクルマ」は次世代の移動手段として期待されています。商用化に成功すればデンソーの次の成長エンジンになるかもしれません。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)