トヨタとの持ち合い見直し 株価への影響は?
デンソーはトヨタ自動車(当時はトヨタ自工)から分離して誕生した企業です。現在もトヨタ自動車はデンソーの筆頭株主で、トヨタグループは売上高の半分を占める主要顧客でもあります。
【顧客別の売り上げ(2022年度)】
こういった経緯から、デンソーもまたトヨタ自動車などトヨタグループの株式を大きく保有しています。トヨタグループとデンソーが相互に株式を持ち合う関係は長く続いてきました。
しかし2023年11月、この持ち合いに変化が生じます。トヨタグループ3社(トヨタ自動車、豊田自動織機、アイシン)によるデンソー株式の売却が報道され、デンソーも売り出しを認めました。
市場では需給の悪化が懸念されデンソー株式は軟化します。デンソーは最大2000億円の自社株買いを発表したものの、総じて売りが優勢となりました(出所:デンソー 株式の売出し及び主要株主の異動に関するお知らせ、自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ)。
【デンソーの株価(日足終値、2023年11月~12月)】
さらにデンソー側も保有するトヨタグループ株式の売却を進める方針を示しました。ただしトヨタ自動車は含めず、当面はアイシンや豊田自動織機などを対象に売却を進めていくとしています。売却の候補となる保有株式の時価は2023年9月で5200億円に上ります(出所:デンソー 政策保有株式の縮減方針に関するお知らせ)。
この方針の通りなら、売られる側だったデンソーは売り手に回り、売却で大きな資金を手にすることになります。持ち合いに向けていた資金が解放されるため資本効率の向上に期待できるでしょう。具体的なスケジュールが発表されれば株価にはプラスに働くかもしれません。