オリンパス株式は高値から調整が進んでいます。きっかけは2022年11月に発表した業績予想の下方修正でした。発表を機に売られるようになり、現在まで高値を回復できていません。通期では増益ですが投資家の期待を上回れなかったようです。最高益を更新するも株価の戻りは鈍く、足元では2000円台に沈んでいます。

【オリンパスの業績】

  売上高 純利益
 2022年3月期 7501億円 1157億円
 2023年3月期 8819億円 1434億円
 2024年3月期(予想)   9580億円  2890億円

※2024年3月期(予想)は同第2四半期時点における同社の予想
※科学事業を含まない

出所:オリンパス 決算短信

【オリンパスの株価(月足、2018年11月~2023年11月)】

出所:Investing.comより著者作成

オリンパスは収益性基準と市場評価性基準の双方を満たし「JPXプライム150指数」に選ばれています。また時価総額も2兆円を超える大型株式です。投資する人は少なくないでしょう。

過去には不祥事もあったオリンパスですが、現在は経営改革で高収益企業になりつつあります。今回はオリンパスに焦点を当て、同社がどのような企業なのか見てみましょう。

顕微鏡から始まった医療機器メーカー 内視鏡で世界首位

オリンパスは医療向けの精密機器メーカーです。内視鏡と治療機器と2つの事業を展開しています。前者は内視鏡に関連するシステムや洗浄装置などが、後者はクリップやスコープといった手術用の器具が主な製品です。

またグローバル企業でもあります。海外売上高比率は内視鏡で87%、治療機器では85%に達します(2023年3月期)。特に内視鏡はシェアが高く、消化器向けで世界の70%を握っています。

このためオリンパスは為替の影響を比較的強く受けます。対米ドルで1円動くと売上高が25億円、営業利益が7億円変動します(2023年3月期実績。出所:オリンパス 2023年3月期決算参考資料)。

【セグメント業績(2023年3月期)】

  売上高 営業利益
 内視鏡 5518億円  1528億円
 治療機器   3182億円 637億円

出所:オリンパス 決算短信

オリンパスはもともと顕微鏡メーカーでした。1919年に高千穂製作所を設立(1949年にオリンパスへ改称)し、翌年に国産として初めて顕微鏡を開発します。

顕微鏡の生産で培った光学技術はオリンパスをさらに発展させます。1949年には国産初のレンズシャッターカメラを発売し、1950年には世界で初めて胃カメラの開発に成功しました。胃カメラを機に医療分野に進出したオリンパスは、今や同業界でなくてはならない存在となっています。