祖業も売却 オリンパスで進む選択と集中
二度の不祥事で揺れたオリンパスですが、その後は順調に回復しています。特に近年は好調で、2024年3月期は2期連続の最高益を見込んでいます(2024年3月期は科学事業の譲渡に伴う一過性の利益あり)。
【オリンパスの純利益(2016年3月期~2024年3月期(予想))】
オリンパスの好調は経営改革に支えられています。
オリンパスは2019年に企業変革プラン「トランスフォーム・オリンパス」を公表しました。5つに分かれていた医療事業を内視鏡と治療機器に再編し効率化させること、またコスト削減に取り組み利益率の改善を目指すことが示されました。
医療以外の事業からは撤退が進んでいます。カメラなどの映像事業は2021年に、祖業の顕微鏡を含む科学事業は2023年に売却しました。これらの施策によりオリンパスは医療事業に特化した企業となっています。
業績を見る限り改革は成功しているようです。営業利益率は2023年3月期に21%に達し、トランスフォーム・オリンパスが公表された2019年3月期(同4%)から大きく上昇しました。
【営業利益と営業利益率(2019年3月期~2024年3月期(予想)】
なお2024年3月期は米食品医薬品局(FDA)の対応(※)や米子会社の製品販売終了に伴う費用などから営業減益を予想しています。オリンパス株式の低調は、投資家がこれらを懸念していることが理由なのかもしれません。
※オリンパスは2022年11月~2023年3月、医療機器報告(MDR)の提出の遅れなどから米食品医薬品局(FDA)から警告文を受け取っている(参考:オリンパス 2023年3月期有価証券報告書(事業等のリスク)、2023年3月期第3四半期決算カンファレンス 質疑応答(要旨))。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)