村田製作所の株価が冴えません。2021年1月の高値から下落傾向が続いており、翌年4月に発表した800億円(発行済株式の2.5%)の自社株買いも反応は限定的でした。足元で続く減収減益に投資家は買いにくさを感じているのかもしれません。
【村田製作所の業績】
売上高 | 純利益 | |
2022年3月期 | 1兆8125億円 | 3141億円 |
2023年3月期 | 1兆6868億円 | 2537億円 |
2024年3月期(予想) | 1兆6200億円 | 2250億円 |
※2022年3月期および2023年3月期は米国基準、2024年3月期(予想)は国際会計基準
※2024年3月期(予想)は同第2四半期時点における同社の予想
出所:村田製作所 決算短信
村田製作所は「JPXプライム150指数」の構成メンバーでもあります。「価値創造が推定される我が国を代表する企業で構成される指数」をコンセプトにJPX総研が算出する指数で、村田製作所は市場評価性(PBR基準)の高さが認められ採用されました。
村田製作所が苦戦する理由はなんでしょうか。直近の業績から読み解いてみましょう。
京都系エレクトロニクスの顔 電子部品で高シェア
村田製作所は京都を代表する電子部品メーカーです。1944年の創業から手掛けるセラミックコンデンサをはじめ、さまざまな製品で高いシェアを獲得しています。スマートフォンや家電など、身の回りにある電子機器のほとんどに村田製作所の製品が用いられています。
【村田製作所の主な世界トップシェア製品(2022年3月現在)】
・チップ積層セラミックコンデンサ:40%
・EMI除去フィルタ:40%
・表面波フィルタ:50%
・多層LCフィルタ:40%
・マイクロバッテリ(酸化銀電池):40%
・ショックセンサ:95%
・セラミック発振子:95%
・高周波インダクタ:60%
※値は世界シェア率
任天堂や京セラなど、京都には有名な大企業が少なくありません。その中でも村田製作所はトップクラスの規模を持ち、時価総額はエレクトロニクス上場企業で最大級です。
【本社を京都に持つ主な企業の時価総額】
・任天堂:8兆9012億円
・村田製作所:5兆9293億円
・ニデック(旧・日本電産):3兆4644億円
・京セラ:3兆0961億円
・オムロン:1兆3022億円
※2023年11月24日終値
また村田製作所は好財務でも知られます。利益剰余金の蓄積を主因に株主資本が増加している一方、負債は抑制的です。株主資本比率(自己資本比率)は2023年3月期に83.6%にも達しました。
【負債と株主資本の推移(2013年3月期~2023年3月期)】