足元で続く減益傾向 原因は? 

村田製作所は近年苦戦が続いています。営業利益と純利益は2022年3月に最高益を更新したものの、翌期は大きめの減益となりました。2024年3月期も利益の減少を予想しています。

【営業利益と純利益の推移(2019年3月期~2024年3月期)】

出所:村田製作所 決算短信より著者作成

減益要因の一つが収入の減少です。売り上げの大部分を占めていた通信(スマートフォン、通信基地局向け)やコンピュータ向けで販売が減少しており、モビリティ(自動車向け)の好調を打ち消しています。2024年3月期もその傾向が続いており、第2四半期までに増収となったのはモビリティだけでした。

【用途別の売上高】

  2022年3月期 2023年3月期
 通信 7792億円 6592億円
 モビリティ 3363億円 3902億円
 コンピュータ 2975億円 2247億円
 家電 1832億円 1978億円
 産業・その他     2163億円    2148億円

出所:村田製作所 決算短信

世界のスマートフォン市場は縮小が続いています。香港の調査会社のカウンターポイント・リサーチは2023年8月、世界のスマートフォン出荷台数は2023年に11億4700万台と過去10年間で最低となる見込みだと発表しました。主な理由として中国や新興国全体の景気低迷と、北米における買い替えの低水準を挙げています(出所:カウンターポイント・リサーチ プレスリリース(2023年8月))。

世界で高いシェアを持つ村田製作所はマクロ要因で業績が左右されます。減益から脱却するにはスマートフォンの世界販売の回復を待つ必要がありそうです。