TDKの株価が好調です。電池事業が順調に伸びており、売上高は2023年3月期までに3期連続で過去最高を更新しています。2024年3月期は減収減益の予想ですが、投資家の期待は高いようです。
【TDKの業績】
売上高 | 純利益 | |
2022年3月期 | 1兆9021億円 | 1313億円 |
2023年3月期 | 2兆1808億円 | 1142億円 |
2024年3月期(予想) | 1兆9700億円 | 1050億円 |
※2024年3月期(予想)は同第2四半期時点における同社の予想
出所:TDK 決算短信
【TDKの株価(月足、2018年11月~2023年11月)】
TDKは市場評価性の高さから「JPXプライム150指数」にも選ばれています。投資家から高い評価を集めるのは、同社が順調に成長してきたからかもしれません。
TDKはどのように成長してきたのでしょうか。同社が繰り返した事業転換の歴史を振り返りましょう。
電子部品大手 カセットテープが代表作
TDKはフェライトの実用化を目指して設立された企業です。フェライトとは磁性を持つ素材で、東京工業大学で1930年に発明されました。TDKは1935年に東京電気化学工業として誕生します。創業初期は無線通信機やラジオ向けのアンテナコイルなどにフェライトが使われました。
フェライトが活用された製品で代表的なものがカセットテープです。TDKが1966年に初めてカセットテープの国産化に成功しました。これが世界的にヒットし、TDKの知名度は大きく向上します。その後もビデオテープやDVD―Rなどの記録メディアで大きなシェアを獲得しました。
しかし記録メディアのニーズは徐々にHDDへ移り、TDKが得意とした磁気テープや光ディスクなどの需要は減退します。これを受けTDKは記録メディア事業をブランドごと2007年8月に譲渡しました。
その後はHDD用磁気ヘッドが主力となり、現在は自動車や通信機器向けの受動部品やスマートフォン向けのリチウムイオン電池が収益を支えています。
【セグメント売上高(2023年3月期)】
主な製品 | 売上高 | |
受動部品 | コンデンサ、インダクタ | 5759億円 |
センサ応用製品 | 磁気センサ、モーションセンサ | 1695億円 |
磁気応用製品 | HDD用磁気ヘッド、マグネット | 2006億円 |
エナジー応用製品 | リチウムイオン電池 | 1兆1734億円 |
その他 | フラッシュメモリ応用デバイス | 614億円 |
出所:TDK 決算短信
TDKの売り上げはおおむね右肩上がりに増加していますが、時代に合わせてラインナップを柔軟に変化させる姿勢が奏功したのかもしれません。
【TDKの売上高の推移(2001年3月期~2023年3月期)】