注意して見るべきポイントは“サンプル数”

この意識調査のサンプルを見ると、「1銘柄200万円未満の株式投資を行う個人投資家111名」となっています。明らかにサンプル数が少ないので、結果に偏りがあるかもしれないという前提で、意識調査の数字を見ていく必要があります。

この意識調査の結果を並べると、以下のようになります。

1、回答者の72.9%が「株式投資を行う際に株主優待を重視することがある」と回答。
2、株主優待を重視する理由として、①生活に使える物が多く魅力的だから(58.0%)、②長期保有へのモチベーションに繋がるから(49.4%)、③株式を保有する楽しみが増えるから(39.5%)
3、55%が「株主優待の内容を見てためらいを感じたことがある」と回答。
4、ためらいを感じた理由として、①保有株数が増えても優待内容があまり変わらないから(42.6%)、②長期保有に対するインセンティブがないから(41.0%)、③BtoB企業銘柄は生活に使える優待がないと感じたから(29.5%)
5、約7割以上が「新NISAに向けて株式投資への人々の意欲は益々高まっていく」と予想している。

出所:株式会社ウィルズ「新NISA制度はまもなく!投資家の関心は?」

内容を要約すると、株式投資をするにあたって、多くの人が、生活に使えるものが多い株主優待に注目しているものの、保有株数が増えたとしても優待内容があまり変わらない点に、ためらいを感じている、ということです。

仮に、この意識調査のサンプルに偏りがなく、111名の個人投資家の意見が、日本全体の個人投資家の意見の縮図になっているとしたら、株式を上場している多くの企業は、株主還元策の1つである株主優待が持つ効果を真剣に考え、かつ株式の保有数に応じてインセンティブを付与するような施策も、必要になってきます。