2024年8月、株式市場が大きく動きました。
「史上最大、ブラックマンデーを超える下げ」などという見出しをみたら、確定拠出年金(DC)加入者や少額投資非課税制度(NISA)口座の利用者の方は、不安になるかもしれません。
株式市場が暴落した場合にやってはいけないこと
値段が上下動する運用商品を持っている場合、株式市場の暴落を目のあたりにすると、不安になることもあります。
8月初旬、野村證券確定拠出年金コールセンターにも「株価が暴落したから、投資信託を売ったほうがいいですか?」という問い合わせが入りました。
一般的には「下がった時には運用結果を見ずに放置」です。投資期間や投資金額、投資対象、ご自身の年齢によっても異なりますが、「何もしないこと」が第一です。運用結果を見てしまうと、不安が大きくなりますし、慌ててスイッチングをするとマイナスが確定することにつながりかねません。
こうしたときは、積立投資を続けていきます。積立投資は以下のような「ドルコスト平均法」という投資手法によって、価格変動リスクを小さくすることができます。定期的に定額で同じ銘柄に投資していく積立投資(ドルコスト平均法)では、値段が高い時には少ない量を、安い時には多くの量を購入します。仮に、下がった時に買わなければ、上がった時の利益が大きくなりにくいといえます。なお、以下この記事ではDCやNISAのつみたて投資枠での投資を考えます。
現状分析が大事
下がった時には、保有資産を慌てて売却するのではなく、現状の分析に取り組みましょう。具体的なケースにわけて対応例をみてみましょう。
【年齢が若く、投資期間も短い人】
積立投資を続けましょう。ただし、次の2点をもう一度、検討しておく必要があります。
①投資金額がご自身の収入や資産に対して適切かどうか
NISAや個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)への投資金額が大きくなりすぎていないか、生活費や緊急事態への備えのための資産が保全されているかどうかが判断ポイントです。
②ご自身のリスク許容度にあった運用商品かどうか
運用商品を選択する際はリスク(値段の上下動の幅)を考慮して選びます。リスクの大きい運用商品については若いうちは多めに保有しておくことが投資の一般的な考え方ですが、値下がりがどうしても気になってしまう場合は、バランス型投資信託の活用も検討してみましょう。バランス型は、株式だけではなく、債券も一定程度組み入れているため、株式だけの投資信託よりもリスクが抑制されています。
【投資期間が10年を超えている人】
基本は積立投資の継続ですが、運用見直しも検討します。
例えば、外国株式型インデックスファンド(※)を2013年1月から2024年7月まで、毎月1万円ずつ積立投資した場合、投資元本は139万円ですが、資産残高は360万円超になります。
急落した8月5日の株価を反映した基準価額で計算し直すと330万円程度に下がります。この“330万円程度”になったことをご自身がどう捉えるかによって、見直しの考え方は例えば以下のように異なります。
①60歳超など年代が上で、十分に投資成果を得ていると思える人
投資元本の倍以上の金額になっているので、全額を売却するのも一つの考え方です。
②今後も運用を続けたい人
運用収益分の200万円を売却して利益を確定する。DCの場合は、売却した金額を定期預金などの元本確保型に変更します。130万円分は元の投資信託に残っているので、運用は継続されます。この場合、200万円は変動しない資産なので、仮に投資している130万円がゼロになったとしても、200万円分の利益は確定されています。
※野村外国株式インデックスファンド MSCI-KOKUSAI(確定拠出年金向け)のデータを使用(購入は毎月25日で休業日の場合は後営業日)