株主優待を行う企業はむしろ減少傾向

しかし、ここ最近の傾向としてはむしろ、株主優待を廃止する企業が増える傾向にあります。いくつか理由が考えられます。

第一に、上場維持基準にある株主数が、市場区分の見直しによって大幅に緩和されました。現在、プライム市場が800人以上、スタンダード市場が400人以上、グロース市場が150人以上となっています。上場維持に必要な株主数が大幅に減ったため、特にBtoB企業にとっては、個人株主を増やすために苦し紛れの株主優待を設定する必要がなくなったのです。

第二に、株主に対して公平に利益還元を行うためです。株主優待は、同意識調査で株主優待にためらいを感じる理由として、「保有株数が増えても優待内容があまり変わらないから」とあるように、どちらかというと小口投資家に有利な条件が設定される傾向にあります。それは、小口投資家を増やして株主数を確保したい、という意図があるからです。

しかし、それでは大口投資家にとって不利になりますし、外国人投資家からすれば、株主優待を受け取ったとしても、その権利を行使する機会がありません。この点、配当で還元すれば、株主は保有している株式数に応じて配当金が支払われるため、株主間の公平性を維持できます。

そして第三に世界、特に先進国を見渡した時、株主還元策として株主優待を行っているのは、日本くらいのものだということもあります。

こうした理由から、株主還元策として、株主優待よりも配当金を重視する傾向が強まりました。恐らく、今後も株主優待を廃止する企業は増えていくでしょう。ちなみに株主優待を行っていた上場企業数は2019年がピークで、その後は減少傾向をたどっています。

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そのなかで、今回取り上げた意識調査ですが、なぜ「個人投資家の7割以上が株主優待を重視」などと主張したのかというと、この調査を行った企業が提供している、「ポイント制株主優待」というサービスのプロモーションにつなげるためです。

時折、民間企業が行う意識調査には、こうした意向が含まれているので、その信ぴょう性をしっかりチェックする必要があることと、いくら個人投資家の7割以上が株主優待を重視しているからといっても、傾向として株主優待は廃止の方向に進んでいるという事実を、資産運用をする個人はしっかり認識しておく必要がありそうです。