ニュースといっても少し古い話で恐縮ですが、9月25日に三井住友銀行が、パーソナル外貨定期預金(米ドル)の利率を大幅に引き上げ、ちょっとした話題になりました。
何しろ、それまで年0.01%だった6カ月物、および1年物に適用された利率が、9月25日から一気に年5.30%に引き上げられたのですから、話題になるのは当然でしょう。
年0.01%が0.05%、0.10%、0.50%、1.00%というように、外貨預金を含む預金の利率は段階的に上がっていくものですが、今回は年0.01%が一気に年5.30%ですから、いぶかしがる声が出るのも、何ら不思議はありません。
なぜ、ここまで急な利率の引き上げを行ったのか。今回は、そこを詳しく調べてみました。
パーソナル外貨定期預金の商品内容
まず、パーソナル外貨定期預金とはどういう商品なのか、という点を簡単に説明しておきましょう。
といっても単なる外貨定期預金です。取引金額は10万円相当額から預け入れが可能となっています。1ドル=150円だとすると、米ドル換算で最低666ドルからの預け入れが可能です。預入期間は1カ月、2カ月、3カ月、6カ月、1年の5種類。通貨は米ドル、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、オーストラリアドル、ニュージーランドドルの6通貨です。
そして今回、上記6通貨のうち、年5.30%という高い利率が提示されたのは、実は米ドルのみでした。この理由については後述しますが、米ドル以外の外貨定期預金に適用されている利率は、これまでと同様、1カ月から1年までのすべての預入期間について、年0.01%が適用されています。少しだけヒントを申し上げますと、米ドルについてこれだけ利率を引き上げなければならない事情があった、ということです。
さて、確かに年5.30%は魅力的に映ります。しかし、外貨定期預金には為替手数料というコストがかかることを忘れてはいけません。
最近はだいぶん為替手数料を引き下げる動きもありますが、パーソナル外貨定期預金の場合、銀行の店頭で3万米ドル以上を預け入れれば通常の半額の為替手数料が適用されるものの、通常は片道1円が取られます。
「片道」というのは、円を米ドルに替える時、もしくは米ドルを円に替える時のいずれかを指しています。基本的に大半の人は、円を米ドルに替えて預け、満期が来たら米ドルを円に替えて手元に戻しますから、往復の為替手数料がかかることを考慮しておく必要があります。したがって、1米ドルにつき2円の為替手数料がコストになると考えるべきでしょう。
仮に1米ドル=150円で外貨定期預金を作成した場合、1米ドルにつき2円の為替手数料がかかるということは、そのコスト負担を率にすると1.33%になります。つまり、表面的には年5.30%の利率であったとしても、預入期間が1年と仮定した場合の実質の利率は年3.97%になります。外貨定期預金を選ぶ際は、各銀行の為替手数料に注意する必要があります。