他のメガバンクの金利も引き上げられる?

さらに問題なのは、このように米ドルの流通量は減ったにも関わらず、米ドルに対する需要が、なかなか後退しないことです。

2021年8月、米国議会の超党派によって可決された「インフラ投資および雇用に関する法律」で、世界中に散らばっていた米企業の生産拠点を、米国内に回帰させる動きが生じています。当然、米国国内に生産拠点を新たに設けるとなれば、米ドルが必要になります。

つまり米ドルには、需要増と供給減という、相反する2つの動きが同時に生じており、ますます米ドル不足が加速しているのです。三井住友銀行のパーソナル外貨定期預金の利率が、米ドルのみ大幅に引き上げられたのは、それだけ米ドル不足が深刻化しているからだと推察されます。

米ドル不足が深刻化しているなかで、日本国内ではネット銀行を中心にして、米ドル建て定期預金の利率を大きく引き上げる動きが広まってきました。たとえばSBI新生銀行のパワーフレックス外貨定期預金の米ドル建て1年定期預金の利率は、年6.00%が適用されています。

結果、いよいよメガバンクも米ドル建て定期預金の利率を、競合並みに引き上げざるを得ない状況に直面しました。

現状、三井住友銀行以外のメガバンクが扱っている米ドル建て定期預金の利率は、キャンペーンを除くと年0.01%で横並びですが、いずれ三井住友銀行並みに引き上げてくるところが出てきても、おかしくないでしょう。