なぜ企業は株主優待を行うのか?

では、株主優待はそこまで重要視されるものなのでしょうか。企業がなぜ株主優待を行うのかというと、理由は2つ考えられます。

1つは自社のビジネスに対する理解を深めてもらうため。自社製品やサービスの無料券、割引券を出すのは、そういう理由があるからです。

株主優待とは、そもそも個人投資家を対象にしたものです。事業法人や機関投資家からすれば、株主優待にコストを割けるくらいなら、製品やサービスのコストをもっと下げるか、配当金を増やしてくれた方が、はるかに経済合理性にかないます。つまり株主優待は、個人投資家を対象にした株主還元策の1つなのです。

では、どうしてそこまでして個人株主数を増やそうとするのでしょうか。それはひとえに、上場維持基準を満たすためです。特に旧東証1部市場では、上場維持基準として2200人の株主数が求められていました。

ところがBtoB企業は、個人投資家からの知名度が低いため、大口で投資する機関投資家が株主の中心になる傾向が強く、株主数で上場維持基準に引っ掛かるケースがあります。

しかも、BtoB企業は法人向け製品やサービスを供給しているため、個人に対して自社製品・サービスを株主優待として付与しても、まず喜ばれません。そのため、クオカードやお米など自社とは全く関係のない物品を配布して、個人投資家を増やそうとしているのです。