今注目の書籍の一部を公開して読みどころを紹介するシリーズ。今回は、「金融リテラシー」の真の理解につなげる書籍、三井住友トラスト・資産のミライ研究所著『安心ミライへの「金融教育」ガイドブックQ&A 「生きる力」を育む「金融リテラシー」の基本』の一部を特別に公開します。(全4回/本記事は第2回)。同書を解説する無料セミナー情報も!
●第1回:長寿化=年金を受給しながら20年弱の老後生活を送ること。その備えに必須のものは…
※本記事は三井住友トラスト・資産のミライ研究所著『安心ミライへの「金融教育」ガイドブックQ&A 「生きる力」を育む「金融リテラシー」の基本』(金融財政事情研究会)から一部を抜粋・再編集したものです。
ライフイベントに必要な資金を準備するのであれば「マネープランとしての投資」の実践を
「投資」とは預金のようにお金をお金のまま置いておくのではなく、「お金と異なる資産」に形を変えて何らかの経済活動に資金を供給し、その結果生み出された収益の一部を利益として受け取ることです。ただし、その「投資」への取組み方にはさまざまなケースが考えられます。
プロフェッショナルとしての投資
職業として「投資」に取り組むケースです。例えば、金融機関に就職をし、会社の資金運用を担う業務の中で投資を行う場合や、信託銀行や生命保険会社などに就職をし、企業が従業員のために積み立てている企業年金を預かって運用を担う業務の中で投資を行う場合がここに該当します。また、個人で一日のうちに何度も株式等の売買を行い、利益を稼ごうとするデイトレーダーもここに該当します。
この場合、金融に関する高度な知識や専門性が必要であり、為替や株価といった金融市場に向き合って「投資」に取り組む必要があります。
趣味としての投資
「音楽を聴くのが趣味」「映画鑑賞が趣味」と同じように、自分自身の趣味や楽しみとして「投資」に取り組むケースです。投資は何らかの経済活動に資金を供給する行為ですので、その過程で世の中や企業について調べたり、今後の動向を考えたりするのが好きだから投資を行っているというような場合がここに該当します。
この場合、自身の「資金面での余裕度合い」と価格の変動に対する「気持ち面での余裕度合い」にマッチするような資産を選び、自由に「投資」に取り組むことになります。
マネープランとしての投資
自身のライフプラン、マネープランを計画したうえで、コツコツ積み立てたお金を「貯蓄」だけではなく「投資」にも置いておきたいと考えた場合に取り組むケースです。自分自身のライフプランや将来のキャッシュフローなど「金融資産の積立計画・取崩計画」をふまえて、「投資」をその計画の中の一つの手段として取り組む場合がこれに該当します。
自身のライフイベントに対して必要な資金を準備していくプロセスの中で「投資」に取り組んでいきますので、相応の時間をかけながら、目標に向けた積立計画と積立中の資産額とをチェックしつつ、安定的に資産形成を進めていくイメージです。具体的には「世界経済の成長の果実を、自身の資産の中に取り込んで膨らませていく」スタイルです。
「投資」と聞くと、日夜、株式の動向に目を凝らし、常に金融の専門的な知識をインプットし続けないと取り組めない大変で難しいものとイメージされがちです。しかし、みなさんが自身の資産形成を行う中で取り組む「投資」はそのようなハードなものではなく、価格の変動をできるだけ安定化させるポイントを押さえて、世界経済が成長していく中で自身の資産も長期的な目線で成長させていくものです。