「世界経済の成長の果実」とは?
「世界経済が成長していく中で、自身の資産も成長させていく」ときに確認しておきたいのは、「そもそも世界経済とは何か?」ということです。世界経済とは、世界の国々のGDP(国内総生産=一定の期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額)の集積です。シンプルにいえば、GDPの拡大分が国家レベルでの「儲け」です。GDPの動きを追っていくことで、その国内でどれだけの儲けが出ているのか、つまり、国の経済状況の良し悪しを確認することができます。【図表1】は、世界の経済成長(GDP)の推移を示したグラフです。
(出所) Bloombergのデータをもとに三井住友信託銀行作成。「先進国名目GDP」「新興国名目GDP」:IMF「World Economic Outlook Database, April 2022」( 推定値を含む、米ドルベース)、期間:1990年~2022年。
【図表1】をみてみると、長期的に成長を続けていることがわかります。「世界経済が成長していく中で、自身の資産も成長させていく」とは、世界のGDPを構成している資産に自分のお金を投じておくことで、長期的な成長の「果実」を得るということです。
しかし、過去はそうであったとしても、これから投資をスタートする、もしくは投資を今まさに行っているみなさんにとっては、「今後も世界経済(GDP)の成長は続いていくのか」がポイントになってくるはずです。そこで、GDPを以下の様に分解して考えてみます。
まず、①の人口に関しては、日本の人口は少子高齢化で減少していますが、世界的には今後も人口が増加していくと見込まれています【図表2】。
(出所) 国際連合「World Population Prospects: The 2019 Revision」(期間:1950年~2100年、2025年~2100年は予測値)のデータをもとに三井住友トラスト・資産のミライ研究所作成
また、②の1人当たりのGDPは、一人ひとりの生産性を向上させれば増やしていくことができます。生産性を高めるためには、その人自身の労働力を上げる(例えば、1時間に1つ作っていた製品を3つ作るようにする)や、そもそもその人自身のウェルビーイング(WELL-BEING)を向上させる(例えば、健康面や金銭面での不安を取り除き、仕事に集中できる状態にする)ことで、生産性は高まります。
しかし、同じことをしていては1人当たりのGDP向上はいずれ限界がきます。ですから、より生産性を高めるには、例えば、設備などの資本を投じることで生産性を高めることができます。1時間に手作業で3つ作ることが限界の人に対して、製品を1時間に10個作ることのできる機械を提供すれば生産性がより高まります。さらにここで終わりではなく、この機械自体の技術を高めることでさらなる生産性の向上が期待できます。
このように、人類は人口増加と持続的な技術革新を行うことで長期的には成長を遂げてきており、そう考えると今後も成長が続くと見込まれます。ですから、短期的な事象に左右されることなく「長期的な目線で世界経済の成長に沿って自身の資産も成長させていく」という点が重要といえます。