今注目の書籍の一部を公開して読みどころを紹介するシリーズ。今回は、投資信託の基本的な知識と投資するファンドの選び方について解説した濱島成士郎著『証券会社が勧めた投資信託で100万円損しています! ハマシマさん、資産運用のコツを教えてください』の一部を特別に公開します(全4回/本記事は第4回)。同書を解説する無料セミナー情報も!

●第3回:もしアクティブファンドを買うなら…「まず最低、この年数運用されているものを」をプロがいう“期間”は…

※本記事は濱島成士郎著『証券会社が勧めた投資信託で100万円損しています! ハマシマさん、資産運用のコツを教えてください』(ビジネス社)から一部を抜粋・再編集したものです。

選択基準6  総経費率の低いものを選ぶ

これについては前述した通りです。投資信託のコストのうち、信託財産から差し引かれるものに信託報酬があります。資産運用はできるだけ低コストで行うほうが良いので、信託報酬もその料率が低いものを選ぶのが投資信託選びの常道です。

また、投資信託には信託報酬以外のコストもかかります。たとえば、監査費用や海外資産の管理費用、固定費などです。投資信託によっては各種資料の印刷費用や、インデックスファンドであれば連動目標とする株価指数のライセンス費用などが信託報酬と別でかかる場合もあるのです。

信託報酬は純資産総額に対して年率で決められるため、純資産総額の大小に関係なく負担率は同じです。

ところが固定費は定額負担になるため、純資産総額が小さいと相対的に負担割合が重くなります。

純資産総額100万円で固定費5万円だと負担率は5%になるのに対して、純資産総額が20万円なら5万円の負担率は25%にもなってしまいます。

こうした信託報酬率だけではわからないコスト負担を把握するためには、「総経費率」をチェックする必要があります。総経費率は運用報告書に掲載されているので、目を通すようにしてください。なお、2024年4月以降、交付目論見書に総経費率も記載されています。

インデックスファンドの場合なら、連動目標である株価指数が同じであれば、純資産総額と信託報酬を含めた総経費率で選んでおいて間違いありません。

対してアクティブファンドは、信託報酬率が下がればリターンの向上につながるものの、最終的に大事なのは経費を控除した後の運用成績です。多少、信託報酬率が割高だったとしても、経費控除後の運用成績がよければ許容されるはずです(ただし、過去の運用実績が良かったから今後も良いという保証はありません)。

前述したように、アクティブ運用は企業リサーチなどに人員を割く必要があり、コストを下げるにしても限度があります。したがって、「アクティブファンドは、同じ資産クラスに投資する似たような運用コンセプトのファンド同士でコスト比較をする、でも参考程度にしかならない」と考えてください。