今注目の書籍の一部を公開して読みどころを紹介するシリーズ。今回は、新NISAのキホン知識からオススメ商品&組み合わせ方、アフターフォローまで解説した篠田尚子著『FP&投資信託のプロが教える新NISA完全ガイド』の一部を特別に公開します(全2回/本記事は前編)。同書を解説する無料セミナー情報も!

※本記事は篠田尚子著『FP&投資信託のプロが教える新NISA完全ガイド』(SBクリエイティブ)から一部を抜粋・再編集したものです。

新NISAは「使いながら増やす」ための制度

NISAとは、毎年一定金額内の範囲で投資信託や株式などの金融商品に投資し、利益が出た場合、通常20.315%かかる税金がまるまるゼロになる制度のことです。

「投資」によって得られた利益が「非課税」になることから、正式名称を「少額投資非課税制度」といいます。一定の条件下で購入した商品について税優遇が受けられるという意味では、空港などの免税店をイメージするとわかりやすいかもしれません。NISAは、日本に住民登録している成人に与えられた、非課税口座保有の「権利」です。「義務」ではなく、あくまでも「権利」なので、そもそも利用するかどうか、また、いつから新NISAを始めるかというのも自由です。2023年末をもって新規口座の受付が終了した、旧制度の「一般NISA」、「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」は、いずれも期間限定の制度として始まり、非課税期間の終了時期が決まっていました。そのため、「1日でも早く始めたほうが得」というメッセージが主流になっていました。しかし、2024年から始まった新NISAは、制度自体が恒久化され、非課税期間も無期限化されたことで、いつ始めてもよい制度に生まれ変わったのです。

2023年半ば頃から、世間では新NISAに関する情報が急激に増えました。街の書店でも、関連書籍が店頭に多数並んでいます。新NISAに関心を持ち活用しようとすること自体は、もちろん私も賛成ですが、少し気になっていることがあります。

私は、ファイナンシャルプランナーであると同時に、ファンドアナリストという投資信託の分析の専門家として20年近くキャリアを重ねてきました。現在は、金融機関に所属しながら個人投資家向けのセミナーに登壇したり、各種メディアを通じて情報発信を行ったりするほか、有識者のひとりとして運用会社の外部アドバイザーも務めています。そんな私の視点から見ると、新NISAについて理解が十分ではなかったり、画一的な情報ばかりが広まったりしていることが散見されます。

新NISAでは、「使いながら増やす」ことを前提に、非課税枠が大幅に引き上げられただけでなく、投資できる商品も豊富に用意されています。つまり、それだけ多種多様な使い方ができるようになったということです。多種多様な使い方ができるからこそ、正しい知識を持つことがより重要になります。本書では、新しく生まれ変わったNISA制度に合った投資信託の選び方と組み合わせ方、さらにはアフターフォローまで、たっぷりご紹介しています。また、近年、商品の選択肢が増え、使い勝手がよくなったETF(上場投資信託)についても、具体的な商品名とともに解説しています。