「つみたて投資枠」と「成長投資枠」、対象商品のポイント
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠で購入できる商品が異なります。
長期資産形成を想定した「つみたて投資枠」は、その名の通り、買付方法が積み立てに限定されています。また、対象商品も、金融庁が定める基準を満たした「長期」「積み立て」「分散」投資に向いた投資信託とETF(上場投資信託)に限定されています。具体的に言うと、株式の組み入れ比率が高いインデックス型やバランス型の商品が中心です。債券のほか、リート(不動産投資信託)や金(ゴールド)などの代替資産は対象外です。
対して「成長投資枠」のほうは、非課税枠が最大1200万円と額が大きく、かつ一括投資も選択できます。多様な投資家のニーズに応えられるよう、「つみたて投資枠」の対象商品に加え、幅広いリスクレベルの投資信託とETFが用意されています。
また成長投資枠では、個別株式とリート(不動産投資信託)も対象です。個別株に関しては日本の取引所に上場する銘柄だけでなく、海外の株式市場に上場する銘柄も一部対象になっています。ただし、ETFを含む上場株式は、証券会社でないと取引できません。
では、新NISAで購入できない商品にはどのようなものがあるでしょうか。
新NISAでは、つみたて投資枠、成長投資枠ともに、長期投資に適さない商品、投機的な取引を誘発する恐れがある商品は、対象からあらかじめ除外されています。投資信託では、毎月分配型(複利効果が得られにくく、非課税メリットを最大限に享受できない可能性がある)や、高レバレッジ型(先物などを活用し、投資元本を上回る成果を目指す反面、損失も大きくなる可能性がある)は、対象外です。また、設定から償還までの年数(信託期間)が20年未満の投資信託も除外されています。言い換えると、新NISAで購入可能な投資信託は、最低でも20年以上の運用期間があるということです。なお、投資信託の信託期間は、運用会社が届出を行うことで延長ができます。個別株では、上場廃止の恐れがある管理銘柄、上場廃止が決定した整理銘柄も対象外です。これらの銘柄は、長期投資に適さないだけでなく、投機的な取引につながる可能性が高いためです。なお、金融庁のウェブサイトには、対象商品の基準の注釈として次の文言も記載されています。
金融機関による「成長投資枠」を使った回転売買への勧誘行為に対し、金融庁が監督
指針を改正し、法令に基づき監督及びモニタリングを実施
この文言が何を意味するかというと、金融機関が手数料稼ぎを目的として必要以上に商品の売買を推奨しないよう、一定のルールが設けられている、ということです。これも、投資家が安心して制度を利用できるようにするためのセーフティーネットのひとつです。
旧制度同様、新NISAも今後、改良が加えられることは十分に考えられます。反対に、制度の意図に反した利用方法が目立つようなことがあると、対象商品の基準や取引ルールが厳格化される可能性も否定できません。長期にわたって付き合っていく制度だからこそ、制度がつくられた背景も含めて理解することが大切です。
●後編【ETFと投資信託はどう違う? 新NISAでの賢い使い分け方は?】で、新NISAでの投資信託とETFの賢い使い分けについて解説します(6月10日公開予定です)。
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