選択基準7 テーマ型は避ける
投資信託にはさまざまなタイプがあります。そのなかでも避けてほしいタイプがあります。「テーマ型」と呼ばれている投資信託です。
マーケット、特に株式市場においては、その時々で話題になるテーマがあります。
過去を振り返ると、「IT」「バイオテクノロジー」「ヘルスケア」「地球環境」「水」「資源」「SRI」「AI」「ロボット」、といったテーマがありました。「SDGs」や「ESG」なども話題になりました。
この手のテーマが株式市場で話題に上ると、それに関連した企業の株式に投資する「テーマ型」が相次いで新規設定されてきました。
テーマ型投資信託を買わないほうがいい理由のひとつに、選択基準3でお伝えした通り、新規設定されたばかりだと運用実績がない点があります。
もちろん、長期間運用が続けられていれば、運用実績をチェックして買うかどうかを判断できます。ところがテーマ型投資信託は、一時的なマーケットでの話題に乗じて新規設定されるケースが多いため、テーマに新鮮味がなくなると人気がなくなり、成績も悪くなって解約が相次ぐ場合があります。解約が続いた末に繰上償還されてしまうこともあり、長期保有には適さない投資信託といっていいかもしれません。
「ITファンド」が人気化した当時、しばしば喧伝されたのは、「ITは第二の産業革命で今後100年という非常に長い時間をかけて世の中の構造を変えていく可能性があるから、長期投資に向いています」という殺し文句でした。
現実はどうなったでしょうか。ITバブルは2000年のことでした。それから20年以上が経過し、インターネットは私たちの生活に欠かすことのできないインフラになっています。インターネットを通じてモノがつながるIoTも現実化してきました。おそらくこれからも、ITを通じて世の中が大きく変わっていくでしょう。確かに、その意味では革新的かつ長期的なテーマだったと言えます。
しかしそれは現実社会における話であって、株式市場ではまったく異なる時間軸で、この手のテーマが消費されていきます。実際、ITバブルが2000年春先に崩壊した時、関連銘柄の株価は暴落しました。それを受けてITファンドの運用実績も、投資した元本が半分、あるいは3分の1くらいまで目減りするほどの下落となったのです。当然、ITファンドの多くが運用実績の悪化と急増した解約に耐え切れず、償還されていきました。
当時、運用が開始されたITファンドで今も運用が継続されているのは、おそらく2、3本くらいではないでしょうか。
そもそもテーマ型投資信託は、そのテーマが株式市場において話題になり、関連する企業の株式がどんどん買われてから設定されます。販売する証券会社は、テーマ型投資信託は「売りやすい」ので企画しますが、実際に販売、運用がスタートするまでは相応の時間がかかります。
その結果、テーマに即した企業の株式を組み入れる時点で、すでに株価は大きく上がっています。そんな時に設定される投資信託が大きく値上がりすることは難しいでしょう。
むしろ、大きく買い上げられた株価は下落リスクが高まっていると考えたほうが自然です。
もしかすると下げ方は、非常にきついものになるかもしれません。先のITファンドは、まさにその典型的な事例といってもいいでしょう。
もしテーマ型投資信託を買うのであれば、極めて逆説的な考え方ですが、新規設定時に購入し、短期的に利益を狙う手があります。株式市場で話題になっている間に購入し、人気が離散する前に解約してしまうのです。
ただ、どうせ短期で利ザヤを狙うのであれば、投資信託よりも個別株式を狙ったほうが良いでしょう。日々の株価を見ながらより機敏に投資できると思います。
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