「不動産小口化商品」は大きく分けて2つ

不動産小口化商品にはいくつかの種類がありますが、不動産特定共同事業法という法律に基づいて商品化されている最もポピュラーな商品には、大きく分けて2つの種類があります。

①    匿名組合型
不動産を所有・運営している企業に投資をするタイプになります。匿名組合型の商品の特徴は投資期間が短く、利回りが高いということです。5%、6%、それ以上の利回りの商品もあります。ただし、不動産の所有権をもつわけではないので、相続財産を圧縮する効果は得られません。
 

 

出所:ファイナンシャルスタンダード

②    任意組合型
現物の不動産に対して小口で投資をするタイプです。投資の対象となる不動産をまず事業者(不動産会社)が購入し、これを任意組合に売却します。投資家の方々はこの組合の組合員となり、組合に金銭出資(または現物出資)をして、共同で不動産投資をします。例えば1000万円を組合に出資して組合が不動産を購入すると、1000万円の不動産を購入したのとまったく同じ効果が得られます。所有権を得られるのがポイントで、こちらは資産を圧縮する効果も得られます。

 

出所:ファイナンシャルスタンダード

メリットはプロ目線で取得した優良不動産に投資ができることです。しかも面倒な不動産経営は、全部プロに任せられます。施設のメンテナンスや店子の管理も必要ありません。また、家賃に応じて分配金が出るので株のような価格の変動がなく、安定した分配金を受け取ることができます。さらに、金融機関からお金を借りて不動産経営をするわけではないので、金利が発生せず、金利変動リスクのない安定した投資ができます。

任意組合型の場合には、贈与時にも非常に大きなメリットがあります。例えば、現金2000万円を生前贈与すると、約700万円も税金として引かれてしまいます。そのため、皆さん分散して贈与されるのですが、それでも贈与税がかなりかかります。しかし、小口化不動産を2000万円分購入して、前編でご説明した通り「土地は路線価、建物は固定資産税評価額」の形で評価してもらえば、商品によっては50%~80%ほど資産評価額を圧縮できます。しかも、そもそも小口になっているので、分けて贈与することによって基礎控除の範囲内で抑えることもできます。これが、贈与時にメリットが大きいといわれているゆえんです。