金融機関のビジネス展開の可能性

確かに、金融機関はさまざまな企業への融資業務を通じて、多くの人材との交流を日々行っています。

この知見を活かせば、職業紹介や起業支援、人材紹介、人材派遣、人事コンサルティングといったヒューマンリソース系のビジネスを展開できそうですし、ビジネスマッチングや経営コンサルティング、あるいはM&Aなどを活用した事業承継支援、事業再生などのビジネスもできそうです。

あるいは長年、地元経済のために金融業務を行ってきた信用がありますから、地域ブランディングや、地域の商品やサービスを幅広く扱い、域外への販路拡大を行う地域商社の運営支援などを通じた、地方創生ビジネスなどへの進出も可能と思われます。

ただ、正直なところこれらのビジネスに新味があるのかと言うと、決してそうではありません。しかも、地元を対象にしたビジネスであれば、金融ビジネスと同様、人口減少による収益力の低下を覆すことは、かなり難しいものと思われます。

金融機関による非金融分野への参入はまだ始まったばかりなので、どういうビジネスが生まれ、どのように収益化していくのかという実例は、まだほとんど見えてきていません。

ただ、人口減少が続く地元に根差したビジネスから脱却できない限り、いくら非金融分野に事業領域を拡大したとしても、地域金融機関の未来が厳しいことに変わりはないと思われます。