気になるインデックス型の「コスト競争」の行方

もう1つ気になるのが、インデックス型のコスト競争です。同レポートには代表的なインデックス型の信託報酬比較が掲載されているので、これはぜひとも見ていただきたいところですが、もはやここまで信託報酬率が下がると、運用コストはゼロに近いと考えてよいでしょう。

たとえばインデックス型では、国内投資信託会社最大規模の運用資産総額を持つ三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimだと、全世界株式指数連動型が9月8日から、それまでの年0.11330%から年0.05775%に引き下げられます。

また、野村アセットマネジメントが7月10日に新規設定した「はじめてのNISA」シリーズにおける同タイプの信託報酬率が、同率の年0.05775%です。仮に年平均の純資産総額が100億円だとすると、年間のコストは577万5000円です。

これを運用会社と受託銀行、販売金融機関の三者で分けあいますから、実際に運用会社が受け取ることのできる信託報酬の額は、さらに少なくなります。投資信託会社の社員の給与水準を考えると、恐らく「社員1名の給与も賄えない水準」と言えます。

もちろん、eMAXISシリーズのように数兆円規模の巨大なインデックス型ファンドになれば、規模のメリットが働いて何とか採算に乗ってくるとは思いますが、数千億円規模では採算に乗らないのが現実です。この際限ないコスト競争の激化による消耗戦が続けば、どこかで限界を迎えるでしょう。

ただ、そうなった時、繰り上げ償還できるのかどうかという問題が浮上してきます。特に長期の積立投資を前提にしたつみたてNISA(2024年1月からつみたて投資枠)は、長期間の積立投資による投資効果をうたっているだけに、どの投資信託会社も、採算には乗らないけれども、簡単に手を引くわけにはいかないというジレンマを抱えることになります。

2018年1月からつみたてNISAがスタートしたのと同時に、アクティブ運用ではつみたてNISAの対象になれないと踏んだ多くの投資信託会社は、インデックス型を中心にして、つみたてNISAの対象ファンドに選定してもらったという経緯がありますが、この安易な考え方によって、大きなツケを払うことになりそうです。