定年に備えてやるべきこと。これを、定年の25年前から準備して実践した素晴らしい方がいます。お名前はKさんと言い、長年証券会社に勤務されていました。60歳の定年を迎えて退職した後に独立し、今は個人で楽しく仕事をこなしています。

定年前の準備と言っても、若い時から財テクをしていたとか、誰もがうらやむ華々しいキャリアを積み重ねてきたという話ではありません。会社の業務で必要とされる専門知識を着実に深め、会社外では専門外の副業をして視野を広げてきたのです。また、そのどちらの仕事でも人との縁を大切に紡いできました。

これらは間違いなく一般的な定年活動に必要とされる大切な要素です。ではKさんが現役時代にどのように準備をされてきたのか、早速ひも解いていきましょう。

転職して証券会社でのキャリアがスタート

Kさんは大学卒業後、地元で家業の仕事をしていました。しかし、大学4年生の頃に『日本の条件「マネー・お金が地球を駆けめぐる」』というNHK特集を見てからというもの、「お金関係の仕事につきたい」という思いが忘れられず、証券会社への転職を決行。上京することにしました。

転職先の証券会社では、高度経済成長期の華やかしい頃で、バブルも経験。1989年12月に日経平均株価が過去最高値を付けた時代も見てきました。しかし、その後バブルは崩壊し、日経株価7600円台も経験しました。業界も下降路線で破綻と合併も進んでいくのを目の当たりにしました。

本社社員は営業に異動し、その後も退職者が後を絶ちません。Kさんもいよいよ退職が視野に入ってきたところで、人事部長から声がかかり、人事担当者として異動することになったのです。