マネタリーベースの推移と金融政策
2013年4月に、日本銀行はマネタリーベースを2年間で2倍に急増させる「量的・質的金融緩和政策(異次元金融緩和政策)」を開始しました。長期間マイナスだった消費者物価上昇率を押し上げて、年間で+2%前後で安定させることを目標として、年間60兆〜70兆円という大量の資金供給を行なう政策です。
しかし、マネタリーベースには上述のように家計や企業で流通しているお金の量だけではなく、日本銀行当座預金も含まれているため、マネタリーベースが増えているから経済活動が活発と言い切ることはできません。
実際に2013年4月に「量的・質的金融緩和政策」を開始したものの、翌年に消費増税をしたため、日本銀行が目標としていた安定的な物価上昇は達成できないままとなりました。
日銀当座預金とは?
マネタリーベースに含まれる日本銀行当座預金とは、日本銀行が取引先の金融機関等から受け入れている当座預金のことです。一般的には「日銀当座預金」と呼ばれます。
日銀当座預金には主に以下の3つの役割があります。
1:金融機関が他の金融機関や日本銀行、あるいは国と取引を行なう際の決済手段
2:金融機関が個人や企業に支払う現金通貨の支払準備
3:準備預金制度の対象となっている金融機関の準備預金
ちなみに、3の準備預金制度とは、対象となる金融機関に対して「受け入れている預金等の一定比率以上の金額を日本銀行に預け入れること」を義務づける制度です。
このようにして日本銀行に当座預金または準備預り金として預け入れなければならない最低金額を「法定準備預金額」といいます。
『経済指標 読み方がわかる事典』
森永康平 著
発行所 日本実業出版社
定価 1,980円(税込)