日々のニュースで取り上げられる“経済指標”。投資のみならず、ビジネスパーソンとして日本経済、世界経済の現状や“その先”を読み解くのにも必須です。

話題の書籍『経済指標 読み方がわかる事典』では、人気経済アナリストの森永康平氏が指標64項目の読み方と使い方を優しく解説。今回は同書の11章「株価や貨幣量がわかる指標」を特別に公開します。(全3回)

※本稿は、森永康平著『経済指標 読み方がわかる事典』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

「株価指数」とは先行きを推察できる株価の変動

株価指数とは、複数銘柄の株価の動きを表す指標です。日本の代表的な株価指数としては、日経225(日経平均株価)やTOPIX(東証株価指数)などがあります。

株価は、言葉の通り株式の価格です。日本の証券市場では、2021年9月末時点で3,700社以上が上場しており、取引時間中はリアルタイムに株価が変動しています。株価の動向を見る際、すべての会社の株価を見るのは大変です。そこで、取引所全体や特定の銘柄群の株価の動きを表す株価指数が公表されています。

一般的に、株価指数は景気に先行します。そのため、株価指数の動きを観察しながら、その変動要因を考えると、世界中の投資家が先行きをどう予測しているか、推察することができます。

株価指数は、証券市場に上場している企業の株価をもとに算出した指標です。そのため、株価指数が上昇していても、街角の景気判断では不況であるといった乖離が生じることがあることに注意しましょう。なぜなら、株式市場に上場できるような企業と、商店街にある昔ながらの小料理屋や八百屋は企業の体力、資本力や信頼感など、あらゆる点で違うからです。

株価を見る際の注意事項

投資家は、他の投資家よりもいち早く好材料を見つけて安い段階で投資をしようとします。その結果、株価は景気に先行して動くといわれます。しかし、景気と株価は必ずしも一致せず、「不況下の株高」という現象もよく起こります。

景気は株価だけで予測できるほど単純ではないため、なぜ株価が上昇(下落)しているのか、理由を複数考えることが重要です。投資家たちが、どのような未来を予測しているのか、何が株価を動かしたイベントなのか、などを考えましょう。