日々のニュースで取り上げられる“経済指標”。投資のみならず、ビジネスパーソンとして日本経済、世界経済の現状や“その先”を読み解くのにも必須です。

話題の書籍『経済指標 読み方がわかる事典』では、人気経済アナリストの森永康平氏が指標64項目の読み方と使い方を優しく解説。今回は同書の11章「株価や貨幣量がわかる指標」を特別に公開します。(全3回)

●第2回:投資するならチェック! 経済活動が活発かどうかが分かる“重要指標”

※本稿は、森永康平著『経済指標 読み方がわかる事典』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

日本銀行が供給する貨幣量から金融政策を読む

マネタリーベースとは、日本の中央銀行である日本銀行が世の中に直接的に供給するお金のことを指します。「資金供給量」ともいい、紙幣と貨幣の発行高(現金)と、金融機関が決済などのために日銀に預けている当座預金残高の合計です。

日本銀行は、景気が悪くなる局面で資金供給量を増やす一方、景気が良くなる局面では資金供給量を減らすため、マネタリーベースは日銀がどの程度資金を供給しているか、金融政策の姿勢を示す1つの指標になります。

マネタリーベースを調整することで、景気の下支えをしたり、過度のインフレやバブル、デフレの発生を防いだりして、安定的な経済成長に誘導しています。

具体的にいうと、市中に出回っているお金、つまり流通現金(日本銀行券発行高+貨幣流通高)と日本銀行当座預金を合計した値になります。式で書くと以下のようになります。

マネタリーベース=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」