米国は在宅勤務の定着によりオフィス空室率が上昇

大和総研政策調査部主任研究員の山崎政昌氏が公開したコラム「経済再開後も高まり続けるサンフランシスコのオフィス空室率」(2023年6月16日)では、米国のオフィス市場が経済再開後も軟調であることを指摘しています。

同コラムでは、中でも厳しいサンフランシスコのオフィス空室率を事例に挙げています。それによると、2023年3月のオフィス空室率は26%にまで上昇したとのことです。

過去の推移を見ると、リーマンショック後の2010年には17%程度まで上昇していたオフィス空室率は、2019年に5%を切る水準まで低下したものの、2023年3月には26%まで上昇したということで、現状の深刻さがうかがえます。

問題は、経済再開後もオフィス空室率が上昇し続けている点でしょう。これについて山崎氏は、次のように指摘しています。

「在宅勤務が定着したことにより以前のようなオフィススペースが必要でなくなった企業が、リースを打ち切ったりリース面積を縮小したりする動きが継続しているからだ。また、コロナ禍によってeコマースがさらに普及したこともあり、ショッピングモールなどの商業用施設にも逆風が吹いているといわれる。在宅勤務の定着やeコマースの一段の拡大は商業用不動産市場にとって構造的な問題であり、かつてのようなオフィスや商業施設への需要が戻ってくることは考えにくい」。

今後も米国におけるオフィス空室率が上昇し続けるかどうかはともかく、この動向は、私たち日本人の資産運用にも大きな影響を及ぼすことになりそうです。