世界経済に大きな影響を及ぼした、新型コロナウイルスのパンデミックに伴う混乱は、ほぼ終息したように思えます。街には海外からの観光客が戻りつつあり、以前に比べればマスクを使用している人の数も減りました。
感染症法上の位置づけが、外出自粛要請や入院勧告などの厳しい措置を取れる「2類」から、季節性インフルエンザと同じ「5類」にダウングレードされたことにより、日常が徐々に戻りつつあります。
日本はオフィス出社率が上昇
オフィスの出社率もだいぶ戻ってきました。
ニッセイ基礎研究所金融研究部主任研究員の佐久間誠氏がリリースしたレポート「コロナ禍におけるオフィス出社動向」(2023年5月25日)によると、2020年4月から5月にかけてのオフィス出社率は、東京36.1%、大阪40.4%、名古屋40.4%、福岡41.7%、札幌50.0%、仙台50.2%でした。
この時期は初の緊急事態宣言が発出された時でもあります。結果、在宅勤務が急増し、オフィス出社率が大幅に低下しました。
それが今どうなっているのかというと、これも佐久間氏のレポートからの数字ですが、2023年4月最終週のオフィス出社率は、東京76.2%、大阪81.3%、名古屋84.2%、福岡79.5%、札幌82.1%、仙台83.6%、となっています。
まだコロナ前の水準には到達していませんが、これらの数字を見ると、一部に在宅勤務の人はいるものの、コロナが明けると共にオフィス人口もかなり戻りつつあることが分かります。
オフィス空室率も落ち着きを見せ始める
ちなみにオフィス物件の仲介を行っている三鬼商事が定期的に調査・公表している、東京ビジネス地区(都心5区:千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィス平均空室率は、2022年8月と9月が直近で最も高く6.49%となりましたが、2023年5月時点では6.16%に落ち着いています。
また地区別の空室率を見ると、千代田区が4.05%、中央区が6.67%、港区が8.59%、新宿区が5.41%、渋谷区が4.55%というように、バラツキが見られます。
とはいえ、日本はまだマシな状況なのかもしれません。