あなたの年金にも、「未納」期間があるかも!?
20歳になったら年金に加入する――今では当たり前ですが、50代女子の私たちの場合はちょっと状況が違います。
少し歴史を振り返ると、国民皆年金となったのは昭和36年4月からです。それまでは、お勤めの方用の年金制度はありましたが、農業や自営業といった方たちも含め20歳以上の日本居住者全てが年金に加入することになったのは、後からなのです。
ただし、第3号被保険者の年金加入が義務化されたのは昭和61年4月からです。それまでは任意加入でしたから、加入していない人もたくさんいました。第3号被保険者というのは、会社員または公務員の扶養の配偶者です。
また平成3年3月までは20歳以上の学生に年金加入の義務はなく、任意加入でした。やはり、任意だとわざわざ保険料を払ってまでという人は少なく、多くの学生が未納だったと言われています。
おそらく読者の皆さんの中には、早くに結婚して家庭に入った方、あるいは当時学生だったので任意加入でしたという方もいらっしゃるでしょう。
でもそうなると、年金は少なくしかもらえないってご存じでしたか?
将来受け取る老齢年金額=保険料の支払額で決まる
年金には、「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3つの給付がありますが、このうち年をとってから支給される老齢年金は、保険料の支払額に応じて受給できる年金額が決まります。従って、任意加入期間中に保険料を支払っていないと、将来受け取る老齢年金の金額が少なくなるのです。
ご存じの通り、年金制度は2種類あります。全国民が加入する国民年金と会社員と公務員が上乗せで加入する厚生年金です。国民年金の加入義務期間は20歳から60歳までの40年間。従って40年間年金保険料を負担した人が受け取る年金額のことを「老齢基礎年金満額」と呼んでいます。
国民年金から支給される老齢年金をなぜ「老齢基礎年金」と呼ぶのかと不思議に思う方もいるかも知れませんが、国民年金はすべての国民が共通して加入する「基礎」となる年金なので、加入期間中は「国民年金」と言いますが、給付の際は「基礎年金」と言い方が変わります。
老齢基礎年金満額は毎年の経済状況により変動します。例えば、長い老後の時間の中で、年金額が全く変わらないとしたらどうでしょう? 昨今の物価上昇を例に考えると、どんどん生活が苦しくなることが想像できます。長生きすれば長生きするほど、貧乏になりますよね。
もちろん国は、高齢者が不自由な暮らしをしないようにと、一定のルールにのっとり年金額を物価に連動して調整しているのです。
従って「老齢基礎年金満額」は毎年変わるのですが、今回の解説では分かりやすいようにここ最近の金額から80万円とさせていただきます。すると40年の加入期間をもって80万円が満額なので、80万円÷40年=2万円という式が成り立ち、国民年金は1年の加入で老齢基礎年金2万円を受け取れるのだということが理解できます。
ということは、第3号被保険者あるいは学生だったので、国民年金に任意加入していなかったという期間が3年あれば、2万円×3年=6万円となり老齢基礎年金は40年加入した人に比べると6万円少ないということになります。
年間6万円は、「一月にならすと5000円だし大したことはないわ」と侮るなかれ。私たちは長生きです。90歳どころか100歳まで生きるとすれば、65歳からの35年間でなんと210万円も差がついてしまうのです。