金融機関を「続ける価値がない」と切り捨てた金融庁長官

金融庁が金融機関に最も恐れられたのは、森信親(もり・のぶちか)氏が長官を務めていたときだったのかもしれません。

森氏は2015年7月に就任し、監督方針を見直し銀行にビジネスモデルの確立を求めたり、投資信託の販売会社に顧客の損益率などを公表させたりと、金融機関に変革を強く求めました。現在では外貨建て保険についても顧客の損益率などが公表されるようになっていますが、これは森氏の改革で下地が作られていたことが大きいと考えられます。

特に森氏が2017年4月に行った講演は金融業界を震撼させました。多くの証券関係者が出席する場で、コストやデメリットを明示せず金融商品を販売している姿勢を「社会的に続ける価値がない」と断じたのです。生殺与奪の権を握る金融庁トップの強い批判に、多くの金融機関は恐怖したでしょう。