任天堂創業家ファミリーオフィスが仕掛ける東洋建設の買収

任天堂の創業家である山内家は「Yamauchi-No.10 Family Office(YFO)」というファミリーオフィスを設立しています。

ファミリーオフィスとは一般に、財を成した一族の資産を管理・運用する組織のことを指します。不特定多数から資金を集めて運用するファンドと異なり、基本的には特定の資産家一族の資産のみを運用します。

YFOは任天堂を世界的企業へ押し上げた山内溥(やまうち・ひろし)氏の孫が2020年に設立しました。故山内氏から引き継いだ資産を中心に運用し、以下9つの領域へ投資していくとしています。

【YFOの投資領域】

出所:Yamauchi-No.10 Family Office 投資部門

最近では、YFOによる東洋建設株式への投資が話題を集めました。東洋建設はマリコン(海のゼネコン)の代表格で、洋上風力発電といった海洋エネルギー事業で強みを持っています。このポテンシャルに注目し、YFOが同社へ投資したとみられています。

YFOは2022年3月から4月にかけ東洋建設株式を買い集め、同社に対して株式の非公開化を目的としたTOB(公開買い付け)の実施を提案しました。YFOはあくまで友好的な買収としていますが、東洋建設はYFOによる同社株式の買い集めが違法であると主張しており、両陣営は対立しています。今後どのような展開になるのか、要注目です。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)