個別の債券はハードルが高い?

債券は、株式と比べると発行体が大企業であることが多く、また発行体が破綻しなければ満期まで保有した際の利回りが確定的という特徴があります。仮に発行体が破綻した場合も、債券の弁済順位は一般に株式より高く、その損失は株式よりは抑制的です。これらから、安定的に運用したいときに個別の債券への投資を検討する人は少なくないでしょう。

個別の債券へ投資する場合も、やはり銘柄の分散は重要です。債券は破綻時の弁済順位が株式より高いとはいえ、一般に公租公課(税金や社会保険料)や借入金などよりは劣後するほか、破綻した発行体には十分な財産が残っていないことも珍しくありません。これらを踏まえれば、たとえ債券であっても発行体が破綻すれば大きな損失は避け難いでしょう。

破綻時のダメージを抑えるには銘柄の分散が効果的ですが、それを妨げるのが債券の取引金額の大きさです。債券は数百万円や数千万円といった大きな金額で販売されることが多く、特に社債でその傾向があります。複数銘柄に投資するにはそれだけ資金が必要となることから、投資を始めたばかりの人や資金力に乏しい人にはハードルが高いと言わざるを得ません。

少ない金額で債券投資をしたい人は、投資信託を利用してみてはいかがでしょうか。投資信託は基本的に複数銘柄で運用されるため、1本買えば実質的に分散投資できます。取引単位も比較的小さく、ネット証券なら数百円から、対面金融機関でも1000円や1万円といった金額で販売されています。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。