「断定的判断の提供」を受けたときの対処法

K&Aのケースのように、詐欺事件や消費者事件では悪質業者が「絶対にもうかります」や「毎月〇%の配当を確実に受け取れます」といったうたい文句を使うことが常套手段となっています。

実際にはリスクのある商品について、元本が保証されているよう誤認させて取引を誘引するといった行為を「断定的判断の提供」といい、金融機関の従業員が行うことは許されていません。もしもこういった勧誘を受けた場合、詐欺を疑った方がよいでしょう。

【金融商品取引法第38条「禁止行為」(一部抜粋)】
金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。

2.顧客に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げて金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為

出所:e-Gov法令検索 金融商品取引法

あまり考えたくないケースですが、正規の金融機関から断定的判断の提供を受けることもないとは言えません。その場合、決してその情報をうのみにしないことが大切です。またそういった行為をしないよう申し入れることも、大切な資産を守る重要な手段となるでしょう。

問題は、断定的判断の提供に基づいて既に商品を購入してしまったケースです。当該取引で損失が発生した場合、金融機関にその回復を求めることは可能ですが、直接的な利害関係にある当事者同士で解決することは簡単ではありません。

こういった金融トラブルの相談を受け付けているのが「証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC:フィンマック)」です。金融庁が認定する指定紛争解決機関で、公正・中立な立場から専門の相談員が間に入って当事者間の和解を促すほか、あっせん委員(弁護士)が和解案を示すあっせん業務も行います。2021年度は勧誘に関して95件のあっせんが申し立てられ、うち3件が断定的判断の提供によるものでした。

残念ながら、フィンマックが全てのトラブルを解決するわけではありません。あっせんはあくまで当事者間の同意によって行われるため、両者の歩み寄りがなければ不調に終わることも十分考えられます。しかし当初から訴訟に踏み切るよりは小さい負担で解決が期待できることから、選択肢の1つとしてぜひ覚えておきたいところです。

【あっせん終結件数の内訳(2021年度)】
・和解:83件
・不調:47件
・取り下げ等:2件

出所:証券・金融商品あっせん相談センター 紛争解決等業務の実施状況について(2021年度)