「過去の自分」ではなく、「いまの自分」に自信をもつ
日本人の仕事に対する価値観は、大きく変わろうとしています。
地位や収入よりも、個人の幸せや成長を重視し始めたのは、中高年より先に、若者のほうでした。自分を犠牲にしてまで働いても、大した見返りはないと、感覚的にわかってきたのでしょう。
彼らは「肩書き」「収入」よりも、「やりがい」「心地よさ」を重視します。「なにに属するか」よりも、「なにになるか」「だれとつながるか」を重視します。
会社の上下関係で消耗するのではなく、上にいくために競争するのでもなく、横のつながりで、人と協力し合いながら自分が力を発揮できる道を探します。
中高年のほうが、これまでの価値観を変えるのはむずかしいもの。先にシフトした人から、これまでの“呪縛”から解放されて、「気負わず、無理せず、伸び伸びと」生きられるようになります。
「人に認められたい」という承認欲求はだれにでもあるものです。おそらく、その欲求は死ぬまでついてくるし、それが力になっていることも否(いな)めません。
だからこそ、「元○○」といった肩書きに頼る情けない人になってはいけない。会社がなくなると、利害関係でつながっていた人たちは一斉に散っていきます。
「この人に会いたい」「この人と仕事をしたい」と思うのも、人柄や仕事ぶりに魅力がある人です。情熱をもってなにかに取り組んでいたり、自分の世界をもってやりたいことを伸び伸びと楽しんでいたり……。
つまり、「終わった人」ではなく、「いまを生きている人」であり、そんな人はかっこよく、尊敬できるのです。
「いまさら、そんな仕事をしたくない」と思う人こそ、自分が満足し、人から認められるほどの力をつけておく必要があります。仕事を選ぶよりも、選ばれる人になることのほうが先決なのです。
●第2回(問題は年齢ではない…「年をとると、仕事がなくなる」という人の“根本的な勘違い”)では、生活のために会社を辞められなかった人こそ大切にしたい、50歳以降の仕事選びについて解説します。
『50歳から花開く人、50歳で止まる人』
有川真由美 著
発行所 PHP研究所
定価 1,485円(税込)