人生100年時代における「50歳」は、折り返し地点でもある重要なタイミング。結婚や仕事、育児で悩んでいた20代、30代の頃と異なる不安や心配が出てくるものです。

仕事人生の後半戦ならではの不安や悩みに、働く人々のアドバイザー的存在として書籍や雑誌で執筆活動を行う有川真由美氏が寄り添います。話題の書籍『50歳から花開く人、50歳で止まる人』では、人生後半で様々な不安から解放されて前向きに生きていくための知恵について解説しています。今回は、本書第1章『50歳からは「自分優先」で生きていく』の一部を特別に公開します。(全3回)

●第2回:問題は年齢ではない…「年をとると、仕事がなくなる」という人の“根本的な勘違い”

※本稿は、有川真由美著『50歳から花開く人、50歳で止まる人』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

「やりたいことはあるけど、お金にならない」と思っていますか?

「定年後は農業をやりたいんですけど、儲かりそうにないから悩んでいます」と言っていた人がいました。

「儲からないなら、やらないんですか?」と聞くと、「やりたくても生活できないなら、あきらめるしかないでしょう。この年で失敗はしたくありませんし」と苦悩の表情。

こんな悩みは、若者からも聞くことがあります。「イラストレーターになりたいが、成功率は低い」「動物に関わる仕事をしたいが、賃金が低い」というように。

「お金になるなら、やる。お金にならないなら、やらない」というなら、それは心からやりたいことではないのかもしれません。

やりたいことなら、仕事になるかどうかはともかく、一度はやってみたらいいではありませんか。「農業をしてみたい」と思うなら、週末農業や家庭菜園からでもやり始められるはずです。

最初から「好きなこと」と「収入」を同時に満たそうとするのは、無理があります。まず、「仕事」を目的別に3つに整理してみましょう。

「ライスワーク」……ご飯を食べるため、生活のための仕事
「ライクワーク」……好きなことで心の充足を得るための仕事
「ライフワーク」……やりがいや使命感をもって追求していく仕事

20代は生きていく基盤をつくったり、30代40代では家族がいたりして「ライスワーク」が最優先だった人も、50代以降は「ライクワーク」を求めるようになります。

しかし、「好きなこと」「やりたいこと」というのは、たいへん曖昧(あいまい)で、「仕事にしたら嫌になった」「向いていなかった」ということも多々あります。「やりたいこと」の独り相撲(ずもう)では、踏ん張りもきかず、継続もむずかしいものです。