「与えてもらう場所」より「自分が与える場所」を探す
反対に、なりゆきでやり始めた仕事が、生きがいになっていくこともあります。
50歳からの仕事は「自分の好き」も大事ですが、強烈な「好き」がない場合は、「人の役に立てること」から考えてみてはいかがでしょう。
自分の得手不得手や興味のある分野も考慮しつつ、「自分はなにをしたら、人の役に立てるのか」を追求していけば、求めてくれる人がいるため、「ライスワーク」にもなりやすく、頼られたり、喜ばれたりしているうちに「ライクワーク」にもなって楽しめる。いずれ、やりがいや使命感をもった「ライフワーク」になります。
自分の能力を使って人の役に立つことを、「自分のやりたいこと」とするなら、すべての働く意味が満たされます。「生活のための仕事」「好きな仕事」と分けることもなく、時間とエネルギーをひとつに注げるでしょう。
もともと日本人にとって働くことは、収入や認められることよりも「社会のために」「だれかのために」という意味が大きかったように思います。働くことは生きることそのものであり、誇りでもありました。
だから、職業選択の自由がない時代でも、プロとして優れたものをつくろう、腕を磨こうと、生涯にわたって仕事と向き合えたのです。
社会が複雑になって得にくくなったそんな実感を、一人の人間として取り戻そうとする人が増えているのかもしれません。とくに50代からは「人生の意味を見つけたい」「社会に貢献したい」という気持ちがより強くなってくるものです。
これまでなにかしら働いてきたのですから、仕事をする基礎はすでにあります。「得ること」よりも「与えること」を中心に考えた人から、人生の歯車がうまく回り始めます。「欲しい、欲しい」ではなく、「あげる、あげる」とまわりにエネルギーを与えているうちに、自分も元気に幸せになっていくのです。
「自分優先の生き方」とは、自分のことだけを考えることではなく、むしろ、社会のことを真剣に考え、自分のやれることを真剣に考えることです。50歳から花開く人は、「人のため」を「自分のため」にして生きる人なのです。