困難を避けるより、困難を厭わない活動を見つける

人間の幸せをどうとらえるかは、人それぞれですが、50歳を過ぎると、多くは「老後はささやかな幸せがあればいい」と幸せも小さくまとまりがちです。「美味しいご飯と家があればいい」「家族と親しい友人がいればいい」「趣味があればいい」と。

仕事も「疲れない程度の仕事がいい」「やれる範囲で細々とやればいい」と新しいことや、面倒なことを避けたりするようになります。

それで十分、満足できるのなら、なにも言うことはありません。でも、50代60代では、まだまだなにかくすぶっているものがあるはずです。

「もうちょっとなにかできるんじゃないか」と思っているうちは、まだ“のびしろ”がある証拠。そんなときに動き出さなければ、次の段階で動き出すことさえ億劫(おっくう)になり、それを過ぎると、動きたくても動けない状態になるでしょう。

とくに50歳から成長しようとするなら、これまで以上に意識して、新しい情報、環境、人などに触れて、自分のなかに“革命”を起こしていく必要があるのです。

ささやかな幸せと、自分の可能性を追求する幸福感は別物です。ほんとうの幸福感は、自分の命を燃焼した先にあります。

コツコツとやった仕事が実を結んだとき、子どもの成長を感じたとき、マラソンを走り切ったときなどに、涙が出るほどの喜びがあるのは、困難や苦労を乗り越えてきたからでしょう。

幸福を得たいなら、困難を避けるより、困難を厭(いと)わない活動を見つけることです。50代のある女性は、娘に「孫の世話を期待しないで」、夫に「自分のことは自分でやって」と宣言して、会社を辞め、日本語教師として海外に飛び立ちました。

「自分の力を一度も試さずに死ねる? 娘や孫には、何歳からでも挑戦はできると身をもって伝えたい」と言って。家族仲はそれまでよりも良好になったとか。

50代60代は、ささやかな幸せだけを求めて縮こまっている場合ではありません。貪欲に自分の世界を広げていこうではありませんか。

『50歳から花開く人、50歳で止まる人』

有川真由美 著
発行所 PHP研究所
定価 1,485円(税込)