分散投資に悩んだ時の、1つの考え方

投資信託などのリスク商品を用いて資産運用を始めたばかりの方は、投資対象を選ぶ際、「初めての投資だから、できるだけ元本割れリスクの低いもので運用したい」などと考え、9つのポートフォリオの中では「バランス型(中リスク型)」か、「バランス型(低リスク型)」を選びがちです。

もちろん、レポートを見ても分かる通り、両者とも元本割れはせず一定のリターンは実現されています。中リスク型の年率リターンは年4%、低リスク型は年3%ですから、現在の預貯金利率から見れば非常によい数字と言えます。

ただ、個人が自分の資産を運用する際、購入する投資信託でリスクをコントロールする必要は基本的にはないと考えます。

もちろん、すべての金融資産を1本の投資信託で運用するなら、リスクをコントロールするためにバランス型を選ぶ必要はあるかもしれませんが、多くの人にとって確定拠出年金やNISAで購入する投資信託は、全金融資産の一部です。多くの場合、投資信託以外に預貯金や債券といった、円建てで元本が保証された金融商品を保有しているのが一般的です。

だとしたら、元本割れリスクのコントロールはこの手の元本保証型商品も含め、自分が保有している金融資産全体で行う方が合理的ですし、自分が取っているリスクの度合いも分かりやすくなります。

例えば、運用資産が100万円でこのうち投資信託を50万円購入したとします。購入した投資信託は債券50%、株式50%で運用するバランス型投資信託です。バランス型投資信託とはいえ、株式を50%組み入れているので、価格変動リスクがあります。

この場合、表面的には、保有しているポートフォリオ全体の50%で、価格変動リスクを取っているように見えます。しかし、基本的に債券は安定資産なので、実際にはポートフォリオ全体の25%で価格変動リスクを取っていることになります。

つまり、保有している投資信託と保有しているポートフォリオ全体の二重に価格変動リスクをコントロールする形になるため、どの程度までリスクを取っているのかが分かりにくくなってしまうのです。

もし、価格変動リスクをポートフォリオ全体の50%まで許容できるなら、その50%をバランス型投資信託ではなく、他の株式型投資信託を組み合わせる方がより合理的と言えるでしょう。