昨年から続く食品価格の値上げ。新年度以降、この動きが一段落するのか、それともさらに値上げが続くのかが気になるところですが、この夏も食品価格の値上げ攻勢は終わらず、家計に厳しい状況となりそうです。
なぜ値上げが続いているのか?
帝国データバンクが今年の4月28日に公表した「『食品主要195社』価格改定動向調査―2023年5月」によると、一部の食品に値下げの動きはあるものの、5月に824品目、6月に3322品目、7月に1884品目が値上げされ、さらに8月以降を見ても390品目において値上げが予定されていることが分かりました。今年1月からの値上げ品目数は、7月までに合計で2万品目を突破すると見られています。
また、2023年に予定されている品目の値上げ要因ですが、トップが原材料高で99%、次いでエネルギーが88%、包装・資材が67%、物流が59%、円安が16%、人件費が10%となっています。詳細を見ていきましょう。
円安の問題
まず円安については、日本の財政破綻や日銀の信用力低下などで円の底が抜けない限り、一方的にどこまでも円安が進むことはないでしょう。したがって、値上げ要因のうち16%を占める円安は、逆に値下げ要因に働くこともあり、その意味では中立要因であると考えられます。
原材料価格、エネルギー価格の問題
ただ、99.9%を占める原材料価格や、88%を占めるエネルギー価格の上昇については、予断を許しません。
工業品と同様、食品の世界でも構築された「グローバルで見て、安いところから仕入れる」というグローバルサプライチェーンは、民主主義国家と専制主義国家の対立によって機能不全に陥り、原材料価格を押し上げています。
また、エネルギー価格の上昇もそれに端を発しています。この状況が早期に好転する可能性はかなり低いと言えるでしょう。