消費者物価指数を押し上げている要因は?
では、何が要因となって消費者物価指数を押し上げているのでしょうか?
それは生鮮食品を除く食料品の値上がりです。生鮮食品の前年同月比は+5.3%ですが、生鮮食品を除く食料の前年同月比は+8.9%となっているのです。
さらに中身を詳しく見ていくと、外食のハンバーガーが前年同月比で+18.4%、鶏卵が同+28.0%、食用油が同+22.7%というように、1年間で20%超も上昇しています。
特に鶏卵については、全国に広がった鳥インフルエンザの影響も大きかったようです。実際、今シーズンにおいて全国で処分されたニワトリは約1700万羽にも達しており、過去最多を更新しています。
また、食料品と共に値上がりが著しいものに家具・家事用品があり、前年同月比で+10.1%でした。家具・家事用品の中で、消費者物価指数の上昇に対する寄与度の高いものとしては、例えば家庭用耐久財が前年同月比で+12.8%、家庭用耐久財のうちルームエアコンが前年同月比+30.2%となりました。
逆に下落したものとしては水道・光熱費で、前年同月比▲2.0%でした。中でも電気代は、前年同月比で▲7.9%と大幅に下落していますが、水道・光熱費が低下しているのは、政府の電気・ガス料金抑制策による効果によるものです。
日銀の金融政策に期待されること
黒田前日銀総裁は、日銀総裁に就任した2013年4月の金融政策決定会合において、「量的・質的金融緩和」を打ち出し、その際に物価目標として+2%を掲げました。
本来なら、+2%の物価上昇率が定着したと判断された時点で量的・質的金融緩和を引き締め方向に転じなければならないところですが、現時点において+2%どころか、+3%、+4%という高い物価上昇率が示現しているにもかかわらず、日銀は金融引き締めに転じる動きを見せていません。
前述したように、日本の物価上昇率は食料品を中心にして、今年もそれほど上昇ペースが緩まる気配は見られず、消費者物価指数の押し上げ要因になる可能性が高いとするならば、日銀の金融政策も、現在の異次元金融緩和を正常化させるかどうかで、正念場を迎えることになりそうです。