日本人の個人金融資産が過去最高額となりました。相変わらず人々の金融資産の大半は預貯金に集まっていますが、その一方で、「定期性預金」へ流入する資産は減ってきているようです。

過去最高額の個人金融資産、内訳は?

四半期ごとに日銀から集計・公表される「資金循環統計(2022年10-12月期)」の数字が発表されました。

資金循環統計とは、分かりやすく言えば「個人金融資産」の額を示すデータのことです。しばしばニュースなどで「個人金融資産の総額が2000兆円を超えて……」と報じられることがありますが、その「2000兆円」という数字は、この資金循環統計によるものです。

3月17日に公表された資金循環統計によると、2022年12月末時点における個人金融資産の残高は、2023兆円で過去最高額になりました。その内訳は次の通りです。

現金・預金・・・・・・・・1116兆円(55.2%)
債務証券(※)・・・・・・26兆円(1.3%)
投資信託・・・・・・・・・86兆円(4.3%)
株式等・・・・・・・・・・199兆円(9.9%)
保険・年金・定型保証・・・536兆円(26.5%)
上記のうち保険・・・・・・379兆円(18.7%)
その他・・・・・・・・・・59兆円(2.9%)

※債務証券とは国債、社債といった債券のこと

相変わらず現金・預金の総額が伸びています。個人金融資産の総額に占める比率は55.2%ですから、これは過半が現金・預金に放置されていることを意味します。

また、ニッセイ基礎研究所のレポート「経済・金融フラッシュ」によると、現金・預金のうち定期性預金は4兆円の純流出で28四半期連続の純流出となる一方、流動性預金は245兆円の純流入になったとのことでした。流動性預金とはいつでも解約できる預金のことで、普通預金や貯蓄預金、当座預金がこれに該当します。

一般的に、定期性預金は「あらかじめ決められた一定期間は解約できない」という縛りがある分、利率は高めになります。それにもかかわらず、定期性預金から資金が流出し、流動性預金に多額の資金が集まっている背景には、定期性預金の利率があまりにも低いという事情があります。