金融・経済危機に直面…報われるにはどうしたら?

同レポートで興味深いのは、この30年間で私たちが経験してきた金融・経済危機の直前から積立投資をスタートさせた場合、2023年3月末までに最終積立金額がいくらになったのか、年率リターンは何%になったのかを計算していることです。

ちなみに過去30年間で起こった金融・経済危機は以下の4つで、積立投資を始めた起点となる年月は、以下になります。

日本バブル崩壊直前・・・・・1989年12月末
ITバブル崩壊直前・・・・・・2000年2月末
リーマン・ショック直前・・・2007年10月末
コロナ・ショック直前・・・・2019年12月末

投資している最中に、こうした危機に直面すると、「すべては終わった」などと絶望感を抱いてマーケットから退場してしまう人も少なくありません。しかし、このレポートに記載されている結果を見ると、不幸にしてバブル崩壊に直面したとしても、投資を続けることができれば、報われる可能性が高まることが分かります。

例えば、1989年12月末のTOPIXは、2881.37ポイントで、2012年6月には過去最安値の695.51ポイントまで下落しました。実に4分の1以下です。ここまで下がるといい加減、嫌になるものですが、それでも投資を継続したことによって、実は利益が出ているのです。

ちなみに、1989年12月末を起点にして毎月2万円ずつ積立投資をしていった場合、累積積立元本は798万円ですが、国内株式型で運用し続けた場合の最終積立金額は、2023年3月末時点で1702万円になります。年率のリターンにすると年4%ですから、少なくともゼロ金利状態が続いている預貯金よりも、よい運用成果が得られています。

しかも、これはあくまで「国内株式のみ」で運用した場合の結果です。MSCIコクサイという、日本を除く世界先進国22カ国の株価を合成した指数で運用した場合、1989年12月末からの最終積立金額は4914万円になります。この間の年率リターンは年9%です。

ちなみに、9つのポートフォリオで最も高いリターンを上げているのは米国株式型で、1989年12月末からの最終積立金額は6187万円、年率リターンは年10%でした。