計算式を下回る物件には要注意!

もちろん、最初からマイナスを出さないことがベストですよね。それでは、どうすればよいのでしょうか。今すでに物件を持っていらっしゃる方も、今後購入を検討される方も、まずチェックしていただきたいのが、以下の計算式です。

かなり簡易的な計算なのですが、ご自分のワンルームマンションの健康診断だと思って試してみてください。サブリース契約がない場合は空室やそれに伴うコストがかかる可能性がありますから、そのリスク分が計上されています。これからワンルームマンション投資を検討される方は、この計算式で0以下になる物件を購入することは避けた方が賢明です。
※サブリース契約=不動産管理会社に手数料を払って物件を一括管理してもらうことで、家賃滞納や空室のリスクを抑える契約

すでに所有している方も、この式でプラスになっていない投資ならば、勝てる可能性は高くはないと考えるべきです。どこかで早めに出口=売却を考えなければいけません。それが今なのか、少し返済が進んだ2、3年後なのか、あるいはもう少しがんばって10年後なのかは、その方の状況によって違います。そこはローン条件や、不動産サイクルを予測しつつ検討することになります。

これからワンルームマンション投資を始めようとされている方は、上記の計算式でプラスになっていないマンション投資には慎重になっていただきたいと思っています。

「じゃあ、どうすればいいんだ!」と激怒する人も…

すでに複数戸、マイナスキャッシュフローのマンションを所有されている方が相談に来られた場合は、1件1件を詳細に数字で分析し、継続保有すべきか売却を検討すべきかを一緒に考えていきます。「この物件はあと1年経てば、解約した時の金融機関への手数料は少なくなります」「キャッシュフローのマイナスが多いので、この物件を最初に処理するほうがよいですね」など、専門家としての意見はお客様にお伝えするようにしています。

お客様が今までお聞きになってきた景気の良い話と、全く真逆なお話をすることもあります。「お聞き苦しいところもあるかもしれません」とお断りして分析をするのですが、やはりお怒りになる方もいらっしゃいます。

ただ、ほとんどの方は問題意識を持ってご相談に来られます。「やはり、そうだったのか」とおっしゃる方が多いですね。我々が大切にしているのは、お客様の20年後30年後です。不動産投資を検討されている方は、不動産投資一択になる傾向がありますが、金融商品や積立投資も含め様々な資産運用の可能性をお伝えし、20年、30年先の未来に備えるための情報提供をさせていただいています。

怖いのは、キャッシュフローがプラスにならない物件で35年のローンを組んだら、35年間マイナス投資が確定してしまうことです。そして、そのマイナスは埋まりません。しかも物件が古くなり、賃料が下がれば下がるほど、マイナスが広がって穴が大きくなっていくのです。

逆に言えばキャッシュフローさえプラスになっていれば、持ち続けていいのです。不動産投資の一丁目一番地は、キャッシュフローがプラスかマイナスかです。繰り返しになりますが、決して私はワンルームマンション投資を否定しているわけではありません。ただ、「もうかる投資」と「もうからない投資」があり、それは購入する時にほとんど答えが出ています。ワンルームマンション投資は、手元のお金をあまり出さずに始められるため、取り組みやすい投資です。将来に不安があるからこそ、将来のことを考えているからこそ、検討される方が多いのも事実です。ただ、ローン返済後の35年後のマンションを過大評価してしまっている方があまりにも多いのが現状です。

今回は厳しいお話が多かったかもしれませんが、ぜひこれからの10年後、20年後を考えて、不動産投資を考えていただきたいと思います。